―早川さんはデベロッパーと管理会社、どちらの立場もお分かりになるかと思いますが、いかがですか。
早川 当社は施設管理、賃貸管理を行なっていますが、賃貸管理というのは借家法に基づく賃貸借契約面でのもの。掃除をしたり、エレベーターを点検したりするものではありません。よく一緒に混同されますが、オーナーから預かった建物の維持のための管理と建物の契約上の管理は違います。
これまで分譲では、自分の財産となるため、むしろトラブルが起こるぐらいで、逆に賃貸の入居者というのはものを言わなかった。マーケットの王様は消費者であるはずなのに、不動産会社に言われるがままの状態でした。
先日、九州大学の学生などを相手に、インターネットや雑誌などから自分で鍵を入手して自分の好きな時間に部屋を見に行けるという実験を行ないました。その鍵は約2時間だけ有効なもので、すさまじい反響があった反面、その部屋に対して業者からの説明がないといやだという意見も多かった。学生にしても、住宅は説明商品であるということが染み付いているわけです。
そこにマーケットを歪める原因があり、これからは大変動が起こると思います。消費者という眠れる獅子が目覚め、声高々にいろんなことを言い始める。入れ屋さんと称される複雑な流通経路があり、おとり広告、手数料をたくさん払う家主から入居が決まるなど、本当は品質と価格がマーケットのものさしであるべきなのに、システムも含めてそこのところにメスが入ってくると思います。
(文・構成:阿比留 真平)
座談会参加者(50音順) | |
(株)リアン・インク | 代表取締役社長 黒石 征幸 氏 |
(株)ジャスティス | 常務取締役 香田 直樹 氏 |
(株)えん | 専務取締役 小林 貞明 氏 |
(株)合人社計画研究所 | 西日本統括福岡支店長 高橋 秀樹 氏 |
(株)早川不動産 | 代表取締役社長 早川 眞市 氏 |
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