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特別取材

カンボジアの教育問題 vol.2~カンボジアの光と闇(3)~
特別取材
2009年3月11日 08:36

公務員は低所得者!?

授業風景(ボップイ安倍小学校にて) 日本では公務員はある程度給料をもらい、安定しているという概念が定着している。しかし、カンボジアでは全く違う。公務員(ここでは小学校教員について述べる)の給料は低く、また手元に届かないこともあるという最悪なものである。

 カンボジア国民の平均年収は、年間約380ドル。これは日本の10分の1の水準である。また、国民の10人に4人が1日1ドル以下の生活を送る貧困層と言われている。しかし教員もあまり変わらない。

 小学校教員の基本給は最低で月30ドル弱、最高で60ドル。1年目は研修期間に当てられ、基本給のみの支給となる。新任の教員が給料をもらえるのは早くて4ヶ月目で、最悪のケースでは1年間もらえない先生(新任だけではない)もいるそうだ。この最悪のケースが生じる原因は、ダイレクターと呼ばれる学校の管理を行なう人間の存在にある。本来なら、このダイレクターによって先生の元に給料が届けられるのだが、彼らの懐へと消えてしまうケースが少なくない。しかも給料だけでなく、PAP(Priority Action Program:優先行動プログラム)の枠で支給される学校施設維持費や備品購入費の予算をも分捕ることがあるようだ。そのため備品が不足した場合などには、子どもたちから金銭(または物資)を徴収せざるを得なくなってしまう。結果、学校に行けなくなる子どもも出てくるという。

 教育の充実は、国が発展するうえにおいて、決してなおざりにしてはいけない重要な問題だ。NGO等の活動により学校数は増え、教育におけるハード面の整備は、徐々にではあるが着実に進んでいる。後は、国がいかにしっかりとした管理体制を構築していけるか。支援によって解決できる問題もあるが、最終的にはカンボジア政府が国家としての役割を果たしていくことが必要となるのだ。(つづく)

【楢崎 賢治】

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