1月末に2008年度決算を終え、戦後史上初めてという世界経済危機の最中に新年度へとスタートを切った山根木材(株)福岡支店。同社も08年1月期の着工実績が72棟と毎年着工実績を伸ばしてきたが、さすがに09年1月期は66棟と10%近くダウンした。業界きっての理論家でもある、同社の藤木直幸・福岡支店長に、新たに年間100棟着工体制作りへ向けての新戦略を語っていただいた。
今の不況をどう観てどう対応するか
―昨年12月の国内総生産(GDP)が対前年比12.7%ダウンと従来予想よりも厳しい数字になっています。この状況をどう捉え、戦略的にどう対処していくかという点について伺いたいと考えております。
藤木 私は一時的なものと捉えるのが正しいと思っています。35年程前の第一次オイルショック時にも省エネ関連の技術や商品開発等で乗り越えてきました。その後の円高不況も合理化で乗り越えて克服しました。
日本人にはそういった逆境を乗り越える知恵があるし、力があることを信じたいですね。今回も同じような意味で、日本の企業も苦しいけれども今こそ逆にチャンスだと思います。日本企業ならびに日本人が悲観的になる必要は全く無いと思います。
―それにしても、悲観的な空気一色ですが。
藤木 時代が大きく変化しているということを常に自覚することが必要です。変化対応力の差で業績に瞬時に大きな差が出る時代です。
例えば、昨年と何がどう違うのか、と管理職・支店長の私が常に自分に問い掛け続けることで、部下も同じようにポジティブな発想になってきているようです。
心構えとして、経営の神様・松下幸之助さんが仰っていた『不況もまたよし』ぐらいが大切だと思います。今が特別過酷なのではなく、どんな時代にも勝ち組、負け組は存在します。経済情勢が厳しければ厳しいほど、追い詰められれば追い詰められるほど、それに対応する知恵や工夫が出てくるものです。
―この厳しい住宅産業界で負け組にならないために、どのような取り組みが必要ですか。
藤木 間違いなく伸びる事業への取り組みです。挙げるならば、ひとつは太陽光発電システムでしょう。
2月25日の朝刊各紙でも報じられましたが、政府が各電力会社へ家庭や企業の太陽熱発電の余剰電力買取価格の引き上げ要請を行ないました。これらの要請にこたえる意味で、九州電力等も来年度から買取価格の引き上げに踏み切ってくれるでしょう。
設置から償却までの期間を短縮することで化石燃料発電から自然燃料発電への転換を促し、地球温暖化の速度を減速しようということです。
当社としては、太陽熱発電システムの普及速度を速めることで設置費用が確実に低廉化できることを確信し、太陽光発電搭載の分譲住宅を現在5棟着工中です。さらに年内にもう5棟程度追加して、完成させようと考えております。
当社は先行して太陽熱発電システムを搭載してECO対策へ取組んでいますが、同じような志でECO対応へ関心を持たれ、太陽光発電、エコキュート、オール電化採用型住宅に踏み切るお客様が増えてきております。
―省エネ商品としては、他にどのようなものがありますか。
藤木 先に申し上げた3品目に加え、当社としてのエコアイテム8項目を採り上げています。他にも照明、換気、冷暖房等新しい商品が開発されてくると思いますが、これらをどう取り入れるかということが重要だと思います。(つづく)
山根木材株式会社
http://www.yamanefukuoka.com/
【構成・文:徳島 盛】
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