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積水ハウスによる書類偽造問題(1)
特別取材
2009年3月18日 14:02

『積水ハウスに自壊作用が起きている? 業績悪化と法令違反続出に社員は動揺』
今度は浜松市で確認申請書類偽造

 積水ハウスが、次々とコンプライアンス違反事件を起こしている。
 2007年8月には、名古屋市の2棟のマンション建設現場において管理技術者を常駐させていなかったことで摘発され、静岡、愛知、岐阜、三重の4県で国土交通省から営業停止処分を受けている。更に昨年7月には、建築確認の申請をしないままアパートを設計していたことが広島で発覚したばかりである。

 今回の事件は、静岡県浜松市で起きた。浜松市は3月6日、建築確認に必要な同市の公文書を、同社の元社員だった49歳の2級建築士が偽造したとして同建築士を静岡県警に刑事告発したと発表した(告発日は2月25日付)。
 問題となったのは、この建築士が確認申請の代理業務に携わった浜松市内の一般住宅6棟と集合住宅3棟、住宅展示場の住宅1棟の計10棟。
 同建築士は2007年4月から08年8月にかけて、住宅が都市計画法に適合していることを示す証明書8通を偽造し、確認申請書に添付して民間の確認検査機構に提出。建築確認を受けていた。
 浜松市によると、同建築士は別の証明書から必要な部分を切り離して偽の証明書を作成。これをコピーして確認申請機構に提出していた。同検査機構は偽造を見抜けなかった。

 さらに、同建築士は、確認検査機構が発行する確認済み証3通と検査済み証2通も偽造していた。検査済み証が偽造された住宅2棟については、建築確認の手続きが一切行なわれないまま、施主に引き渡されていたという前代未聞の事件である。

 偽造が最初に発見されたのは08年11月。住宅の担保価値を調べていた金融機関が、建築確認の内容について、浜松市に問い合わせたのがきっかけだった。
 同建築士が手がけた住宅については、以前から何度も都市計画法に適合するか否かについて問合せが寄せられていた。そのことを記憶していた市の職員は、問合せに対する回答がなされていないにもかかわらず、いつのまにか住宅が建てられていたことを不審に思い証明書の発行履歴を調べることにした。その結果、正式に発行された証明書が存在しないことが判明したのである。
 浜松市と積水ハウスが、同建築士が建築確認申請に関わった住宅について調査したところ、証明書や確認済み証が偽造されていたことが次々と明らかになるに至った。
 同建築士は、09年1月13日付で懲戒解雇となっている。

 折りしも、積水ハウスは09年1月末の決算内容が悪化したことを公表したところである。同発表と相前後して、滋賀工場の閉鎖や同工場と本社部門の配置転換などリストラ策が発表されている。
 安定した資材調達能力と価格交渉力で同業他社から一目も二目も置かれていた資材部の担当者も、例外なく積和不動産やリフォーム部門へ配転されるという。
 これまで厳しいコストダウン要求に応えることができていたのも、メーカー等の資材納入業者の担当と、これら資材部のベテラン社員とのあいだに阿吽の呼吸が成立していたことによるところが大きい。今後は、新担当者間の人間関係づくりから着手しなければならないことになる。しかし、レールに乗るまでにはかなりの時間を要するであろう。

 また、関連会社等へ配転される社員たちやこれから配転対象となるであろう社員たちのあいだでは動揺が走っており、その仕事ぶりも地に足が着いていない感じである。
 「辞めよ」と言わんばかりの遠距離転勤や、全く経験のない部署への露骨な移動も社員のモチベーションを低下させている。
 昨年来の、マンション業者やデベロッパーの相次ぐ倒産により、これから住宅を購入しようとする人々の志向は、経営が悪化しつつあるパワービルダーから、信用のおける大手住宅メーカーへ回帰しようとしている。
 例えば住友林業などは、展示場への来場者が一気に増え契約数も上向いてきているという。
 その一方で、最大手の積水ハウスでは、次々に偽装問題や不祥事が発生、社員の士気低下で、受注は一向に上向かないという。
 1月末の完工へ向けて突貫工事でがんばった工事店たちも、2月以降の発注工事の激減には呆然としている。このままいくと、3月末から4月末にかけての資金繰りがつかない工事店も出てくるであろう。


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