ゴミ山の訪問は衝撃的だった。どうしてこの場所で働く必要があるのか。どうして子どもがこんな場所で働かなければならないのか。純粋にこのような疑問を感じてしまうが、答えは“生きていくため”に他ならないのだ。ゴミ山以外にも働く場所の選択肢があるに違いない。しかし、彼らはゴミ山を職場とし、僅かなお金を稼ぐために必死に働く。有毒ガスが体に悪影響を及ぼすこと、死亡者が過去に出ていることはほとんどの人が知っているだろう。それでも危険を恐れず長時間ゴミ山をかけずり回り、金目のゴミを拾い集める。自分の命のため、家族の命のために自らの体を犠牲にして働く人々の姿―。決して素直に受け入れられる光景ではなかったが、これもカンボジアの現実の一つなのである。生きるということ、働くということの意味について特に考えさせられる場所だった。（つづく）
【楢崎　賢治】

※記事へのご意見はこちら