4. 商社との提携で競争に勝つ
08年度は各社ともタスポ効果などを背景に業績を上方修正。しかし、昨年秋からの世界的な不況により、多くの製造業が赤字または減収。こうした状況下で、明らかに消費者の収入は減ってきており、個人消費が落ち込めば、コンビニといえども、影響は避けられない。
そんな状況を予測してか、昨年12月、イオングループと三菱商事は包括的な資本・業務提携を発表した。三菱商事がイオンに5%以上の資本参加するのは、イオンが弱体化しているからか、それとも競争が激化している小売業界における商社主導による再編劇なのか。業界ではいろんな憶測が飛んだ。
どちらにしても、双方とも生き残っていかなければならないということだけは確かで、それが好調なコンビニを舞台に行なわれつつあるということである。
しかし、単に売上げ規模の拡大を狙った提携や再編では、厳しい競争に勝ち残ることはできない。提携のメリットがお互いにとってどこにあるのかを見極めるのが重要なのである。
三菱商事がイオンに資本参加したことで、傘下のローソンとミニストップが提携するとの噂が持ち上がったが、実際にローソンは焼肉店の牛角などの持株会社「レックスホールディングス(旧レインズインターナショナル)傘下にあったampmの買収を決めた。
ampmは東京都内に多くの店舗をもっており、ローソンにとってはこれで手薄だったエリアを攻めることが可能となった。
◎提携の産物にPBの相互販売
不況で消費者の財布の紐が固くなる中、コンビニが売り出して成功したPB(プライベートブランド)。すでにセブンイレブンはPBセブンプレミアムの販売数を急拡大している。
イオンはPBのトップバリューをローソンに供給することができれば、商品力の強化と拡充、収益のアップが可能になる。一方のローソン側はコンビニで扱う範囲の商品情報しか入手できていないが、イオンとの提携によりその他の商品やサービスの情報・ノウハウが入手でき、品揃えの強化・拡充に反映できることになる。
他方、三井物産はセブン&アイ・ホールディングスと包括提携契約を締結。伊藤忠商事もファミリーマートに出資するかたわら、名古屋のスーパーユニーと提携をし、サークルKサンクスとの関係を強化した。商社や大手流通との連携は、今後のコンビニ経営に大きな影響を及ぼすのは間違いない。
ただ、商社がコンビニを運営できるかという点では、現状では難しいと言わざるを得ない。なぜなら、消費者の細かな動向を探り、商品1点1点の見極め、販売や接客サービスを提供することについて、商社は全くノウハウをもっていないからだ。
それゆえ、セブンイレブンにしても、ローソンにしても、今後は商社をあくまで提携先と捉え、商品供給やPB開発などで提携し、自社主導でコンビニを運営することが成功のカギを握るといえる。(つづく)
【釼 英雄】】
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