5. アジアへのコンビニ輸出
コンビニエンスストアの国内市場は飽和状態。少子化で消費は縮小し、CO2削減や環境に配慮する一方、めまぐるしく変化する市場にも対応していかなければならない。
そこで、各社が次の一手として挙げたのが海外戦略で、セブンイレブン、ファミリーマートを始め、多くの企業が参入している。
店舗数が最も多いのはセブンイレブンで、米国に6200店、台湾に4700店を超える店舗を展開。ファミリーマートも韓国に3700店以上、台湾に2200店以上を出店している。目下、各社とも日本での成功体験をもとに、その国の事情にあった業態づくりに力を入れている。
セブン&アイ・ホールディングスは、昨年4月に商標使用権を管理するセブンイレブン中国を開設。北京でのFC展開を開始し、経済発展が著しい沿海部を中心に出店を急ぐ。
ローソンは中国に280店舗ほどの展開にとどまる。そのため、三菱商事を通じてミニストップと提携すれば、セブンイレブンやファミリーマートに比べ出遅れている海外戦略が、一気に進む可能性は高い。
ミニストップも韓国やフィリピンに展開して、知名度をアップさせており、三菱商事の力を借りることができれば、今後の出店に弾みがつくのは間違いない。国内でコンビニが商社との相乗効果を発揮する仕組みを作り上げたら、それは海外戦略でも大きなバックボーンになるはずである。
◎海外戦略は商社抜きではできない
元来、コンビニエンスストアは品揃えを生活必需品に絞り込み、利便性の追求とプロパー販売を軸にして米国で発展。それが日本に上陸して、日本流の経営スタイルで進化し、ファーマットとして確立した。
05年、ファミリーマートは、日本のコンビニとしては初めてとなる米国展開を現地法人「ファミマ・コーポレーション」を通じて開始。現在カリフォルニア州内に11店舗を展開する。
品揃えは米国市場では定番のサンドイッチを始め、おにぎりや寿司、弁当、一般のスーパーには少ないプレミアム食材、日本茶、輸入文具を販売する。
また、店内ではホットサンドを調理し、それらを食べる飲食スペースを構えるほか、ATMやコピー機、インターネットの無線LANも完備している。
ただ、ファミリーマートが米国展開を成し遂げたのは、伊藤忠商事の存在抜きには語れない。現地の不動産情報や店舗建設、商品手配や物流など、コンビニ運営に欠かせないノウハウは、すべて商社の手を借りて得たものだ。コンビニ本社でサンドイッチのメニューづくりはできても、小麦粉や野菜、パン工場
の確保などは商社でないとできないからだ。
今後、海外戦略を積極化していくには、こうしたチームによるマーチャンダイジングがカギを握る。コンビニ各社が商社と提携をする背景には、こうした事情もある。(おわり)
【釼 英雄】】
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