苦しみのなかで見出したヒント
木造陸屋根防水工法「スカイプロムナード」を開発した(株)栄住産業。エンドユーザーを対象とした営業戦略を採用せず、あくまでも住宅メーカーや工務店を主要ターゲットにした営業を展開し、業務の展開を図った。しかし2008年3月期は経常段階で赤字となり、苦しい経営を迫られた。そうしたなか、あることをヒントに「屋根の革命を起こそう」とひらめいた。
-CORPORATE PROFILE-
代表 : 宇都 正行
所在地 : 福岡市東区原田3-5-6
設立 : 1976年2月
資本金 : 7,400万円
業種 : 屋根工事ほか
売上高 :(08/3)24億7,635万円
TEL : 092-622-6292
URL : www.eijyu.co.jp
苦境を打開するために
(株)栄住産業は、高耐候鋼板を用いた陸屋根防水技術で広島以西、九州で営業網を広げてきた。ここ数年は住宅メーカーと組んで、関東、中部、関西地域に営業を傾注。直営の営業所を各地に設けて積極的に営業を展開した。地震対策、防火対策を含めて、鋼板金属による金属製ルーフバルコニーの耐久性と優位性、そしてFRPとの差異をアピールしてきた。ただ、ルーフバルコニーはFRPに比べてコストが高く、そのことで苦戦を強いられてきた。その結果、2008年3月期は24億7,635万円の売上高を確保したものの、経常段階で3,737万円の赤字を露呈してしまった。
この苦境を打開するため、ここ1年、宇都正行社長は自らの足で現地を歩き、住宅メーカーや工務店に対しては「屋根に金属バルコニーを設ければ緑化が図れます。そうすれば、そこに水場をつくって、メダカや虫を飼うことができますし、子供の情操教育にもなります」と説いてまわった。
現地を歩くなかで、宇都社長はあることに気づく。「戸建て住宅を見ると、土地価格が高く、狭い敷地に精一杯の家を建てていると気づきました。そのため、まともな庭や緑化ができていないことに目がとまったのです。一方で、屋根を見ると勾配屋根になっている。これはもったいない、水平屋根にすれば庭を設けるスペースが確保できるのにと感じました」。これが「屋根の革命」をひらめくヒントとなった。
これを機に、それまでのバルコニー提案営業から屋上創造提案にシフト。「20~30坪の家でも、それに応じた庭や緑化スペースの確保が可能」と提案。これにより、ようやく営業も軌道に乗った。大手住宅メーカーも屋上水平化によるスペース確保に注目し、正式受注契約の締結に成功、新たな販路を確保した。2009年度は水平屋根住宅500棟の販売を計画している。
また、建築関係におけるトップクラスの業界専門誌『建築知識』も、水平屋根と木造陸屋根防水工法「スカイプロムナード」を取り上げた。これにより、住宅メーカーや工務店のさらなる注目が集まることとなる。(つづく)
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