シリーズでお届けしている、山根木材(株)福岡支店・藤木支店長のインタビュー。今回は、不況下の日本において今後住宅業界がどのような局面を迎えるのか、さまざまな要因ごとにお話をうかがった。
日本の住宅業界の今後
―今後、日本の住宅業界はどのように推移していくのか、見通しをうかがえればと思います。
藤木 地価の下落は続くでしょう。地価も需要と供給のバランスによって決まります。その意味では、現在は供給過剰ですから、下落傾向は今後も続くと考えておいた方が良いでしょう。また、ところによって下落幅に差がでてきます。なかには、値段が付けられない土地も出てくると思います。
それから最近の特徴ですが、地価にも少子高齢化の影響が出てきています。一例として、地下鉄3号線沿線で、ご主人の死後奥様が一人で守ってきた土地を手放す、ということが多くなりました。将来子供たちが帰ってくる時のためにと、草取りや掃除を含めて一人でやってこられても、東京や大阪で就職し、現地で結婚して福岡へ帰ってきそうにない。母親も次第に年を取ってきて、掃除や草取りをするにも体力がついてこなくなる。それなら家を処分してバリアフリーのマンションやケア付の養護老人ホームなどへ転居しよう、とお考えになられるケースが多いようです。160~200坪程度の土地を買い取って欲しいという申し出が随分増えてきています。
当社ではそのような土地を購入して4~5区画に小割し、上物付で分譲しております。地下鉄沿線ですし、学校区も良いし、販売価格も抑え目にすると好評です。
こういった事例は、需要側と供給側との思惑が合致しているのと同時に、時代の流れを感じさせますね。
―金利の面はいかがですか。
藤木 当面は上がりようがないでしょう。100年に1度あるかないかの大不況ですから、先程は秋には上向くなどと希望を含めて言いましたが、おいそれと短期間で急回復するはずがありません。
日米と同じようにイギリスも公定歩合を0.5%に引き下げ、ユーロも追随するようです。今後も確実に景気回復にめどが付かない限り、金利の引き上げは難しいでしょう。
景気が回復し始めても、生き延びた国家や企業は満身創痍の状態でしょうから、完全に回復するまではかなりの時間を要すると思います。(つづく)
山根木材株式会社
http://www.yamanefukuoka.com/
【構成・文:徳島 盛】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら