時代に沿った経営を創り 使命感をもって業界を再生する
建設工事に欠かせない生コンクリート業界(以下、生コン業界)。建設業界全体の低迷を受け生コン業界も年々業績が低下傾向にある。そんななか、生コン業界の再興のため知恵と情熱を傾け尽力している業界人も多数存在する。今回は熊本県球磨郡から全国へ市場を広げる味岡生コンクリートグループ代表取締役の味岡和國氏と、福岡はもとより全国の業界青年部を牽引し、豊富なアイデアで生コン業界の改革を目指す野方菱光(株)代表取締役の林宗一氏に、将来の生コン業界について熱く語っていただいた。
味岡生コンクリートグループ
代表取締役
味岡 和國 氏
所在地:熊本県球磨郡あさぎり町免田西3278
設 立:1991年2月
資本金:1,000万円
業 績:80億円(グループ)
工 場:24工場
野方菱光(株)
代表取締役
林 宗一 氏
所在地:福岡市西区大字飯盛425-1
設 立:1978年5月
資本金:4,030万円
業 績:43億円(グループ)
工 場:5工場(関連会社含む)
品質を高めること
─品質面に対しての位置づけはいかがですか。
林 我々は、品質に対しては手を抜いていないと自負しております。だから仮に価格は低くともモラルは高いというのが生コン業界であります。ただ「JIS規格を守っていれば大丈夫。心配ない」という風潮が長年続いてきているのも確かです。要するにJISに胡座をかいているのです。JIS規格をクリアしておけばもちろん製品としての資格があるのですが、JISに頼りすぎない姿勢で生コン造りを実践していかねばならないですね。もっと独自の製品開発に力を注いでいくことです。
味岡 品質については、その工場を経営するにあたってのモラルが全てですね。今はないでしょうが、一昔前の生コン業界はセメントに何でも混ぜて練って造っていた。その後は生コン業界も品質に対する意識が高まりモラルは向上している。今や我が国の生コンの品質は世界レベルで比べてトップクラスにあるという世界にも通じる製品を供給しているのです。生コン製造に対して誇りを持って日々の業務に当たっております。
林 製造側のレベルとモラルは格段に向上しております。しかし先程味岡社長がおっしゃったゼネコン側の受入体制は、もっと改善できるのではないかと考えます。ゼネコンが施工現場での生コンのサンプリングを実施するなどしてチェック機能を高めることで、より高い品質の生コンが保持されるのです。福岡及び九州地方はそうした流れになってきております。またゼネコンだけでなく設計者(事務所)、そして施主の方々にも生コンの重要性をもっと認知してもらわねばならないし、各組合が率先して生コンの重要性を業界外に発信していかねばならないのです。
味岡 まさにその通りで、何度も申しますがゼネコンや設計者(事務所)は建設の基礎である生コンのことをもっと知り、勉強していただきたいです。
林 例えば食料品はバーコードで品質が管理されておりますね。厳重な品質管理を実践しております。生コン業界もガラス張りの品質管理を行なっていかねばなりません。生コンは“生”とあるように生物(なまもの)です。JISに明記されている練混ぜ開始から荷下ろしまでの90分は、食品で言う『消費期限』です。『賞味期限』は30~60分です。90分という『消費期限』が設定されておりますが、工場から90分ギリギリで現場に到着したとしてもその前にミキサー車が荷下ろししている場合は待たされるわけです。90分は超えてしまうケースも発生する。だから生コンを打ち込む時間に鑑みて『賞味期限』の範囲で納品することがベストであることを業界全体としてPRしていかなければならないのです。納品時間の短縮により高い品質が保たれ、それがアウトサイダー対策の一つにもなりえます。アウトサイダーは地区外から納品する場合、ギリギリ90分での納品となり、『賞味期限』の30~60分以内に納品するのは難しいのが現状です。組合価格より安価ではあるがどちらが良いかは使う側もわかるでしょう。90分はあくまでも最低ラインです。(つづく)
【河原 清明】
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