兄弟間でつばぜり合い激化
独立して本社を現在地に置いたのは世取丈志氏が鳥栖店を任されてこともあり、鳥栖、筑紫、久留米地区などの市場環境ついては明るかったからのようだ。要するに、いままで担当していた顧客に対して営業をかければいいのだ。しかし、問屋は卸さない。もともと、兄弟間の仲が悪い上喧嘩別れ同然での独立なので、兄の嫌がらせとも言える執拗な圧力がかかった。営業先からのキャンセルが相次いだのだ。調べてみると松屋産業は同社取引先に出向いて同社が出した見積もりを見せるだけで、その見積もりから更に5%を値引いた値段交渉から始まり、その後も更なる値引で取引させないように仕向けたと聞かれる。
企業存続のためのしたたかさを持つ
松屋産業が破綻したことに対して「(松屋産業とは)まったく縁はない。逆に嫌がらせ営業とても迷惑していた」と同社代表はコメントしつつ、世取丈志氏は秀文氏対してはものすごい嫌悪感を持っている。もともと、「あの人は猜疑心が強く、まったく人を信用しない」「高級外車を数台とクルーザーも保有しており、これら会社の費用で購入して遊んでいる」「経営能力はない」とバッサリ。だが、松屋産業からの報復が怖いのかそれ以上多くことは語らない。しかし、破産開始決定がなされたことで安堵しつつも、松屋産業の顧客を取り込み更なる事業確立の足掛かりにするのだろう。
松屋産業に対して大口不良債権が発生し1月19日に破綻が判明した(株)フロンティア(福岡県須恵町)は「(世取秀文氏に)だまされた」と松屋産業に対して怒りを露わにしていた。フロンティアの代表と秀文氏は、常に行動をともしていたと周囲から話が上がるほどの師弟ぶりだったと聞かれるが、土壇場で裏切ったのだ。秀文氏はかなりの2枚舌で有名だったと聞くことから最後まで嘘を突き通したとのことなのか。
弟の世取丈志氏と兄と性格とタイプが違うという見方もあるものの兄弟であることと、営業拠点は異なるが松屋産業と同業であることから、同様な経営手法を行なうではとの周囲の勘ぐりは否めない。強い圧力を受け続けて、その手法を体験し、厳しい市場をしたたかに同社の舵取りをしてきたのは確かだから。松屋産業が破綻した今、同社は圧力を受けることは無くなった。しかし、松屋産業と同様の手法で事業展開を図るであれば、今後は同社に対して充分な用心は必要とされるだろう。
【道山】
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