西松建設による違法献金事件で、東京地検特捜部は、二階経済産業大臣が率いる派閥の政治団体「新しい波」への政治資金提供について、事情聴取などに踏み切ることが報じられている。
二階派の政治団体「新しい波」は、西松建設のダミー政治団体「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」から、政治資金パーティ券購入代金として多額の政治資金を提供されている。確認できるだけでも05年、3回の政治資金パーティに両団体から計438万円、06年には2回のパーティに計340万円が入金されており、こうした金が西松建設の金であるとの認識があったかどうかが問われることになる。
ところで、西松建設のダミー政治団体は、06年にふたつとも解散している。「新しい波」への政治資金提供も04年から06年までの話となるのだが、この期間「新しい波」の「会計責任者」は参議院議員の泉信也元国家公安委員長兼内閣府特命担当大臣(防災・食品安全、)である。泉元大臣は二階派の事務総長も務めている。
小沢民主党代表側については公設第一秘書が逮捕されているが、これは小沢代表の資金管理団体「陸山会」の会計責任者を逮捕したのであって、小沢代表の秘書だから逮捕されたのではない。政治資金規正法上の虚偽記載については「会計責任者」が処罰の対象となるのである。
当然ながら「新しい波」への政治資金提供に関しては、当該年の会計責任者が逮捕されるなり、事情聴取を受けるのが筋である。国会議員だからとか、元国家公安委員長だからという理由で違う対応をすることは許されない。そうした意味で「新しい波」への捜査がどのように行なわれるのか注目される。
【頭山 隆】
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