小沢民主党代表が来週にも進退の判断を示すという。17日の党役員会で「来週にはある種の結論が出るので、その時話す」と語ったとされる。24日が逮捕された公設第一秘書の勾留期限であり、起訴されるかどうか結論が出ることを見定めて、ということなのだろうが、よくよく考えてもらいたい。
日本の司法制度は三審制である。確定判決が出るまではいかなる場合も「推定無罪」なのだ。しかし、この国のマスコミや世論はなぜか「起訴」されるかどうかを重要な判断基準に据えている。どう考えてもおかしい。裁判も開かれていないのに、よってたかって「罪人」を作り出そうとする。
一番ひどいのが「人権」にうるさい大手マスコミである。政治資金規正法違反の事件であるにもかかわらず、報道内容は小沢代表側の談合への関与をほのめかすものや、いつ辞任するかといった話ばかり。
証拠があるから逮捕されたという意見もあるが、裁判所が捜査に加わっているわけではなく、捜査当局も全ての証拠を提示して「逮捕状」を請求しているわけではない。逮捕されたら全て「クロ」と決め付ける風潮はあらためるべきである。でなければ冤罪はなくならない。
公人、私人を問わず、進退について「起訴」をひとつの節目とする考え方も、警察や検察の捜査を絶対視する誤った考えかたである。これもまたわが国が法治国家であることを無視している。一体いつからこうした「基準」ができたのであろうか。
声が届くのであれば小沢代表に申し上げたい。裁判員制度が始まるという矢先、今回の西松建設事件が起きた。総選挙を前に、辞任しなければ民主党の支持率が下がる、選挙に勝てないという声もあるだろう。しかし、日本の司法制度では判決が確定するまでは結論とはならない。マスコミが裁判をしているわけでもない。もちろん自らが「罪」を認めて責任を取るというのであれば話は別だが、政治資金規正法違反については無実だ、潔白だと言った以上、最後まで信念を貫くべきだろう。
小沢代表は立法府の一員でもある。裁判員がマスコミ報道で判断を下すことがないよう、身をもって司法制度の在るべき姿を示してもらいたい。
【頭山】
*記事へのご意見はこちら