ホンダのハイブリッド車、インサイトの売れ行きが好調だ。2月の発売開始から既に1万8,000台の予約が殺到。当初予定の月間販売計画5,000台では追いつかず、納車までに数ヶ月待ちの状態が続く。2月の車名別新車販売台数では、トヨタのプリウスを抜き、ハイブリッド車としては売上台数1位に輝いた。
ハイブリッド技術と販売実績では大きなアドバンテージを持つトヨタも、5月の3代目プリウス投入を機に、旧モデルの最低価格を約190万円に設定すると発表、インサイトに消耗戦を挑む。
低コストハイブリッド車の活況に、業績回復の兆しすら伺える自動車業界。しかし一方で、東海エリアの自動車産業を担ってきた関係者の間では「若い人たちの車離れもあるし、そういう世代に対応する車が本当にハイブリッドなのか、ということも考えなければならない」という声もある。
『遊び心のあるデザインや機能を車に盛り込む』とした、トヨタ次期社長である豊田章男副社長の肝煎り新プロジェクト「デコクレ」。第一弾としてヴィッツの特別仕様車を投入し、顧客の開拓・拡大と国内市場における売上回復を図ろうとしている。
地盤沈下が依然として進む東海地区の製造業。原油価格も安定しはじめ、4月から導入されるエコカー減税の対象となるハイブリッド車・電気自動車以外の登録車も大幅に増えた。ハイブリッド車もいいけれど、車離れした若年層ユーザーをターゲットにした、ローコストかつ経済性・環境対応性・生活密着性に優れた車の積極的な投入が、今後の自動車業界全体を占うことにもなるのではないだろうか。
【烏丸】
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