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この世には、鬼がいる 気づけば金融鬼だらけなのだ(5) 常葉学園大学教授 副島隆彦 氏
特別取材
2009年3月24日 08:38

 私は、日本の金融鬼、ユダヤ鬼たちの手先どもの姿を目のあたりして、ずっと考えていた。そして「もしかしたらこの者たちは、餌(bait)なのではないか」という新たな理論を作った。カモになって騙されて、大損をする被害者をおびき出す餌となり、NYの金融ユダヤ鬼たちの手先となって使われているだけの小物のゾンビたちなのだ、と思うようになった。
 年収2,000万円とか4,000万円とかで雇われて、必死に金融外資企業にしがみついているだけの餌たちなのだ。餌たちは、客をおびき出すための見せ掛けのしかけであり、本人たちに悪意はあまりない、善意だらけのアホだ。この半分、悪意のアホたちが「一体どうしてこういうことになってしまたのでしょうね。奥様。困りましたね」と平気で言う。このアホの証券営業マンの若い男も、やがて次々に生血を吸っているうちに、本物の鬼になってゆく。
 目の前の奥様(自営業者や上層サラリーマンたちの妻)は、この、タッキー君によく似た証券会社のハンサムな若者に、自分がだまされたのだ、とようやく薄々と気づく。だが、損をしてうなだれているだけだ。自分の主人にも、そのうちこの失敗は気づかれる。それにびくびくと怯えながら生きている。この地獄絵が、日本全国で繰り広げられている最中だ。まだ峠は越さない。悲劇はこれから襲い掛かってくる。大損が確定して実損となり、露見して、現実から逃げられなくなる時に悲劇が起きる。
 野村證券や三菱UFJ証券(昔の国際証券、野村系だった)は、客に2本売りつけるファンド(投資信託)のうちの1本は始めから「嵌め込み」で、客に損をさせることが分かっている。こいつらはそういうことを平気でやるのだ。それが金融鬼たちの世界だ。鬼にならなければ自分が食べてゆけない。人を食べて生きている。
 「自分は上から命じられて、与えられた仕事をしているだけだ」と居直っている。それでも、国際部や資金運用部のファンドマネージャーになれば、ひとりで扱う(投資判断を下す)のは2,000億円である。恐ろしいことだ。
 餌というのは、囮とはちがう。囮は、たとえばフライ・フィッシング(川釣り)の疑似餌のように毛鉤になっている。毛鉤は、英語でred herringと言う。
 毛鉤にひっかかって捕まってしまう岩魚や鮎たちが、日本の資産家や投資家、愚かな不真面目経営者たちだ。まじめに自分の事業を営まないで、余計な金融バクチに手を出す。そして痛い目に遭う。自業自得だから滅んでしまうのも仕方が無い。
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 自分が頭から、テレビ、新聞の言うことを聞いて、大詐欺師(ただし、こいつらは鬼にはなれない餌)の田原総一朗のサンデー・プロジェクトのような極悪のヤラセ詐欺テレビ番組に見入っている。それをビデオ録画して3回見る、という馬鹿が、この国には本当にたくさんいるのだ。この馬鹿たちは、本は読まない。本当のことは、本のほうに書いてあるということを知らない。
 日曜の討論番組を見て、それで「自分は頭がいい」と自惚れるアホたちを、まんまと、「あはは、またアホが餌食になりに来たな、さあ取って喰らうぞ」と血だらけの口を大きく開けて、待ち構えている鬼どもの姿が私には透けて見える。こういう洗脳番組を見て、悦に入って「自分はなかなか頭がいい」と思い込んでいるような連中だ。勝手に食い殺されて死んでしまうがいいのだ。
 餌になるのは、野村證券の20代の若手の営業社員のようなやつらだ。かれら銀行、証券、生保の社員のような連中が、奥様たちを、死ぬほど騙した。そして、グローバル・ソブリン・ボンドや世界銀行保証・南ア・ファンドのような、通称「グロソブ」と呼ばれる投資信託を売って回って、そして馬鹿な奥様層に散々買わせた。この証券会社の社員たちが、まさしく餌だ。こんなやつらは、鬼になどならない。鬼たちの手先の撒き餌たちだ。電話をかけて、勝手に玄関口まで押しかけ、そして営業、勧誘をやって、計画的に大損をさせた。 
 投資信託のほとんどはだいたい暴落して60%減で、投資元金からよくて半分、ひどいのは1/3だ。1/3に自分の投資資金を減らされて、日本国民のちょっとだけ富裕層(上層サラリーマン層、小さな経営者たち)は泣いている。しかしそれでも、エサたちに向かって掴み掛かってゆかない。「信じた自分が馬鹿だった。投資した自分のせいだ」と鬱屈している。なぜ、自分をまんまと騙したこの若造たちに殴り掛からないのだ。殴れば犯罪だからか?どっちが犯罪者だ。鬼だ。
 鬼の手先のエサたちに怒りをぶつけて、首を絞めるようなこともしない。取り乱すこともしない。それが人生か。今日の都大路で、全身おできだらけで、汚くやせ衰えて横たわっている流浪民と同じだ。他にはもうどこも行く所が無い。一番安全なのは都大路なのである。夜中に剥ぎ取りの鬼たちが出るだけであり、もう何も取られるものがなければ、そこに横たわったまま、餓死、病死してゆくだけだ。これがいつの時代も、人の世だった。浮世(憂き世)だ。
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 鬼だー。鬼だー。鬼が出たのだ。鬼たちから逃げなければ。その覚悟を皆で確認して、気持ちをしっかり持って、これからの荒波を渡っていきましょう。副島隆彦はいつもその先頭を行きます。私は人々が崖から落ちないように、見守ってあげる責任のようなものを感じるようになった。まずこの自分が騙されたらお仕舞いだ。両目をカッと見開いて、耳を澄まして、用心深く、注意深く、闇夜を渡ってゆく。 
 今の私には、遊行僧だった、全身垢だらけ、蚤虱だらけになって流浪民と共に歩いた空也上人や、時宗(踊念仏)の開祖の一遍上人の霊が乗り移っている。自分がもっと神がかって大きな真実を見抜く神通力を身につけなければ、人々を安全に導くことはできないし、今も徘徊する金融鬼たちや怨霊たちと、互角に闘えない。

副島 隆彦【そえじま・たかひこ】氏
1953年5月1日、福岡市生まれ。早稲田大学法学部卒業。銀行員、代々木ゼミナール講師を経て、現在は常葉学園大学教授。政治思想、法制度論、経済分析、社会時事評論などの分野で、評論家として活動。著書に『時代を見通す力』(PHP研究所刊)、『恐慌前夜』(祥文社刊)、『暴走する国家、恐慌化する世界』(佐藤優氏との共著、日本文芸社刊)ほか多数。日米の財界、シンクタンクなどに独自の情報源を持ち、日本人初の「民間人・国家戦略家」として、日本は国家として独自の国家戦略を持つべきだ、と主張している。副島国家戦略研究所(SNSI)主宰。

副島隆彦の「学問道場」
http://www.soejima.to/

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