3月21日(土)、(財)九州地域産業活性化センターおよび(株)星アソシエーツ(天神塾主宰)主催で「明日の九州を考える」と題した講演会が開催された。会の冒頭で九州地域産業活性化センター会長の鎌田迪貞氏より挨拶がなされ、道州制導入のメリットについて話がなされた。
続いて基調講演では、(財)日本総合研究所会長の寺島実郎氏が招かれ、世界の構造転換と今後の日本の進路について見解を示した。講演のなかで寺島氏は、オバマ政権が打ち出したグリーン・ニューディールがもたらすパラダイム転換の可能性について、「IT革命を超えることができるか」「電気自動車と再生可能エネルギーの相関」といった視点から論じた。
また、日本における自動車以降のプロダクト・サイクルを創出する必要性があり、宇宙開発およびロボット開発の重要性について述べた。20年後にアジアが世界GDPの4割を占める時代がくるなかで、またこれから資源争奪戦が始まるなかで、日本の資源ポテンシャルの可能性とこれまで培ってきた技術の価値が日本創生のカギを握っているとした。
その後、北九州市立大学学長の矢田俊文氏、第一交通産業(株)社長の田中亮一郎氏、(社)日本ニュービジネス協議会連合会会長の長谷川裕一氏、(財)ながさき地域政策研究所常務理事の菊森淳文氏らによるパネルディスカッションが、星アソシエーツ代表の星崎治男氏の司会で行なわれた。
議論は主に道州制導入を前提としたもので、とくに九州の一体化によるスケールメリットをどのように生かすか、またアジアにおける観光・産業拠点として、どのように地域の良いところを発見し伸ばしていくかといったことについて各人より提言がなされた。
九州はアジアに距離的に近いという最大のメリットをいかに生かすか。また日本においては、東京一極集中型の経済構造と言われるなか、いかに九州全体で取り組める産業を生み出し成長させられるかが問われていると言えよう。
【大根田康介】
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