24日、民主党・小沢一郎代表の秘書が政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで起訴された。小沢代表は同日夜会見を開き、涙混じりに代表続投を発表した。小沢代表側が政治資金規正法や別の犯罪を行なっているとすれば、司法の場で白黒をつけるしかない。「有罪が確定」したら、代表どころか政治家も辞めるだろう。しかし、判決確定までは「推定無罪」である。民主党の国会議員は日本の司法制度を理解すべきである。
党内からは辞任を促す意見が出ているが、これでは「選挙目当て」としか思えない。「小沢さんが代表のままなら、選挙に負けるかもしれない。政権を奪うことができなくなる」だから辞めろという。政治家として立法府の一員としての矜持はないのかと言いたい。
ある議員は「検察批判はいかがなものか」と、またバカなことを言う。検察権力は強大である。しかし、今回の東京地検特捜部による一連の動きは「国策捜査」との批判を否定しきれない。小沢代表の秘書を起訴するにあたって、異例のコメントを発表したのも、そうした批判をかわす狙いであろう。小沢代表以外にも長年にわたり西松のダミー団体「新政治問題研究会」や「未来産業研究会」から政治資金提供を受けてきた政治家がごろごろおり、その数は20人を超える。しかも、毎年百万円単位の金が動いたと確認できる。森元首相や尾身元財務相の資金管理団体などへは、02年もしくは03年から毎年のように「寄附」の形で100万~300万円が入金されていた。外形上は同じ政治資金提供であるなら、早い時期に事情聴取すべきであったろう。なぜ政権奪取間近といわれる野党の代表側だけを立件したのか、昨日の検察のコメントからは納得できない。
嘆かわしいのは民主党の一部議員にみられる選挙目当ての言動である。三審制の何たるかも考えず「起訴されたら辞任」と言ってみたり、「民主党への支持率が下がる。自分の選挙にも不利」とのさもしい考えで「代表辞任」を訴えている。自民党と何が違うのだろう。
民主党はかつて「偽メール事件」で若き政治家を失った。当時の代表や幹事長に対しては、いまだに党内からも「見殺しにした」とする意見もある。政党として幼かったというべきであるが、一枚岩になれず、大衆受けだけで政権をねらおうとする姿勢から抜け切れていない議員も多い。報道がどうであれ、「無罪だ」と主張する人間は判決確定までは無罪なのである。おたおたせずに、この国を本当に変えるためには何をすればいいか、しっかりと訴え続ければいい。
【秋月】
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