29日、投・開票が行なわれた千葉県知事選挙で無所属の森田健作氏が当選した。民主党などが推薦した候補者を40万票余り引き離しての勝利である。
西松建設による違法献金事件で公設第一秘書が逮捕された小沢代表と民主党そのものへの逆風があったことは否めないだろう。しかし、森田氏の勝利には別の要因が大きかったと見るべきである。
ここ数年、宮崎県の東国原氏、大阪の橋下氏と、相次いでタレント知事が誕生した。知事就任後の活躍は周知のとおりである。メディアの取り上げ方はいささか異常だが、知名度を生かして地方の実情を訴え、変革へと結び付けてきた手腕は高く評価される。
お隣の東京には石原慎太郎という怪物都知事がおり、千葉県は何となく地味な存在と見られてきた。ディズニーリゾートも成田空港も千葉県にあるが、県として全国的に情報を発信する機会が少ないとの指摘もあった。
千葉県民は、森田氏のタレント性に加え国会議員経験も有していることから、同氏に県の将来を賭けようと考えたのではないか。
民主党推薦候補の知名度不足も痛かっただろうが、地方自治体の首長選挙と政権選択は別物である。混同した民主党側にも確かに敗戦の責任はあるだろう。結論を言えば、西松建設事件が無くても、前回の県知事選挙で、当選した堂本知事に6000票差に迫った実績と幅広い人気のある森田氏の勝利は確実だったのである。これで小沢降ろしに拍車がかかるとする見方もあるが筋違いだろう。知事選の結果で右往左往するようでは民主党の政権奪取はおぼつかない。
【秋月】
*記事へのご意見はこちら