31日夕、麻生首相が新たな経済対策について官邸で記者会見を行ない、09年度予算と関連法案の成立について「これで景気対策の3段ロケットが完成した」と胸を張った。空気がよめない政治家である。
同日、厚生労働省が発表した調査結果では、昨年10月から今年6月までの雇い止めや派遣切りによる非正規社員の失職数が19万2,016人にのぼることが明らかとなった。
ただし、この数字は期間が限られている上、全国の労働局やハローワークを通じ、事業所に対し任意で聞き取りした結果としており、実数はさらに大きなものであること予想される。
さらに、3月23日現在でハローワークが確認した「内定取り消し」は、高校生で344人、大学生等で1,501人の合計1,845人であることも明らかとなった。
雇い止め等を行なった、あるいはこれから行なうとしている企業は2,968社。内定取り消しを行なった企業は404社となる。3段ロケットの燃料は足りなかったらしい。
31日には10億円を超える負債を抱えて倒産した企業が全国で二ケタに迫る勢いだった。それ以下の負債による倒産件数は、数えればきりがないほどである。これが現実なのであり、政府の経済対策は決して十分ではないのだ。麻生首相は、統計には表れない不況の痛みが分かっていない。
西松建設事件という国策捜査の前に、小沢民主党への支持率が低下し、内閣支持率が上がっている。しかし、その数字は依然として20%前後という「危険水域」のままである。それは、とりもなおさず麻生政権への退陣勧告に他ならない。
胸を張るほどの成果が上がっているのなら、新たなロケットの必要性はないと思われるが、麻生首相は新たな経済対策のため09年度の補正予算案策定を指示したのだという。
今度も第2次補正まで予定されており、さしずめ5段ロケットということになる。ロケットを作る原資は、いうまでもなく「税金」である。足りなければ赤字国債という名の借金をすることもいとわないというが、ツケをまわされる次代の主役たちに拒否権はない。
今の時代に生きる者の痛みを和らげるといえば耳ざわりは良いが、よく考えれば私たちの子どもや孫に借金を背負わせるだけのことなのだ。もういい加減、政治家の甘言に騙されてはいけない。いま大切なのはバラマキ政策ではなく、年金や医療などの制度を抜本的に変え、将来への不安を解消することだろう。財政出動と称して、何でもありの予算付けが行なわれるようなら、いよいよこの国は崩壊に向かいかねない。
麻生さん、やっぱりあなたでは国が滅びますよ。
【頭山】
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