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博多港特集・座談会1 福岡・九州の総合力を生かしアジアの港との協調に針路を(2)
特別取材
2009年4月 2日 08:52

博多港特集・座談会1 福岡・九州の総合力を生かしアジアの港との協調に針路を 昨年10月、博多港で水深15mのコンテナバースが供用を開始した。大型コンテナ船の寄港が始まり、既に整備されている世界水準の物流システムと併せて、博多港の高いポテンシャルが示された。一方で世界的には知名度が低く、釜山や上海など大型港との競合関係もある。こうした環境の中、博多港はこれからどのような役割を担っていくのか。その進むべき方向性をKBCラジオ番組パーソナリティなどとして活躍中の中村もとき氏の司会で、博多港ふ頭(株)代表取締役社長の江頭和彦氏、九州大学大学院経済学研究院教授の久野国夫氏、福岡ロジテム(株)顧問の賀来紀久男氏の3名に語り合っていただいた。

●築港の始まりは箱崎浜

賀来 
 博多港を築港開発する原動力になったのは、明治の後期から大正にかけての山九の初代社長の中村精七郎氏と福岡県選出国会議員で、政治団体である玄洋社の杉山茂丸氏の存在でした。博多港をなんとかしようと中村氏が私財を投じて博多港築港を進めたのです。その際、箱崎浜から始めたのは現在から見ても的確な判断だったと思います。このとき、後背地の産業や交通網も含めた構想を立て、筑豊炭田とつなぐ鉄道、これは現在の篠栗線ですが、こうした構想とセットで博多港は築港されました。現在の香椎パークポートやアイランドシティは、地形として非常によく、すぐそばに高速道路もあります。鉄道との接点は現在はありませんが、荷物が増えてくるとどうしても考えなければいけないでしょう。

中村 
 今の福岡の行政は交通面で常に後手後手に回っているという印象ですが、博多港についてもそうなんでしょうか?

江頭 
 博多港の場合、開発と同時に造った道路はかなり立派なものです。博多港に平行する道路はそうしてできているのですが、タテに入る道路は既存の都市構造の中でなかなかブレイクスルーできていません。このタテ軸の弱さをカバーするのが都市高速で、荷物を上手にヨコにさばくことで対処することができます。福岡の場合、毎年おおむね1万人ずつ人口が増えていて、これはこの20年で20万都市が新しくできたようなものです。加えて経済的な集中度は久野さんが先ほど言われたように九州の7割が集中する状況なので、どうしても内陸側の整備が遅れがちになってしまっているのでしょう。

●通過機能が博多港の役割

久野 
 北九州は新日鉄などの工業生産のための港であり、苅田港は自動車関連の積み降ろしが専らの役割です。これに対して博多港の場合は生活港湾という性格があります。工業製品の原料や完成品だけではなく、生活雑貨や食料品、穀物などさまざまなジャンルの品物がさまざまなルートで流れていくわけですから、港での荷物の積み降ろしだけではなく高度で広範な物流機能を備えています。それぞれの企業や物流会社がニーズに応じて展開していますから、その意味では行政にとって交通需要が計算しにくい面もあるのかもしれませんね。

江頭 
 おっしゃる通りで、博多港の後背地は臨海工業地帯ではありません。北九州のように港と生産機能が一体化しているわけではなく、出来たモノをスムーズに流すという通過機能が博多港の大半の役割です。筑豊や筑後も含めた100km圏くらいが博多港のサービスエリアとなっており、南九州や中国地方も私たちにとってはお客さまです。大川の家具や久留米のゴムも大事なお客さまですが、物流を円滑に通過させるサービスを私たちは提供しています。今の博多港は大型のコンテナ船や高速船、フェリーなど、大陸や国内各地とをつなぐさまざまなモードがあります。迅速に荷捌きを行ない、荷揚げしたコンテナや貨物はすぐに国内各地にさばかれます。

中村 
 これだけ博多港が私たちの生活に密着した製品を扱っており、高度な機能を持っているということを、ほとんどの福岡市民はご存じないのではないでしょうか? 玄関港という言葉は知っていても、その意味を正確に知っている人は少ないでしょう。もっとPRしないといけませんね。

賀来 
 ソフトの面では、官と民とが総合的にIT化に取り組んでおり、通関業務の効率化・簡素化が進んでいます。HiTSという博多港物流システムは、港湾ターミナルでの荷役や通関にとどまらず、船の運航状況から陸上輸送まで含めたもので、関係者の誰もがアクセスできます。これほどのシステムは国内では博多港だけ。世界の港と比較しても魅力的だと思います。世界の船舶関係者は港湾のソフト面に非常に関心が高く、私もよその港に行くと、博多港のソフトはどうかと必ず聞かれます。日本人はこうしたことをアピールするのが下手なのでしょうが、IT化された最先端の港湾システムを世界に知らしめるためのポートセールスを積極的に行なうことが重要でしょう。

つづく


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