工務店に必要なこと
―なぜ最近の建物では結露が起きやすいのでしょうか。
須貝 それは、壁の東西南北の外壁部分の通気層に四方八方から湿気が入ってきて、最終的に小屋に溜まるからです。今までは壁のなかに溜まってきた湿気がすべて土台に入ってどんどん劣化させていたけれども、外壁に通気口を作ると今度はすべての湿気が小屋裏に入ってくる。それが水滴となり、4、5日も経つとシミがついてくるし、床にも落ちてくるわけですね。
そういう意味で、今回の瑕疵担保履行法の問題点というのは、一見雨漏りのようでも、実はそうではないことが起きたときにどうするのかということです。結露の状況をよく知らない人は、水が漏れていると屋根の部分をはがしたりして、穴が空いていないか見るわけです。実は雨漏りではないけれど、この現象を知らない方にとっては雨漏りではないかということになります。
しかし、そのような現象は3年に一度は同じようなことが起こりうる可能性もある。そうするとユーザーが困るのは、雨漏り防止対策を瑕疵担保法に基づいて実行したのに、あの工務店は何回も雨漏りするような施工しかしないではないかとなるわけです。私はこれが一番大切な問題だと思います。
そのため、正しい内部結露の防止対策を工務店に教えていくことが、大きなメリットになることだと思います。
―屋根工事をするうえで、栄住産業さんはこうした問題に直面すると思います。
宇都 35年にわたる現場経験のなかで、雨漏り防止の仕事もしましたが、漏水であっても天井にものすごいシミができることはあります。雨漏りは見つけるのが難しいですが、ある程度の技術者がいれば可能で、当社でも1,000件以上は手掛けてきました。ただ、そういう経験があまりないところが施工する場合、色々と手は尽くすのですが、なかなか雨漏りが止まらないケースもあります。そういうときは、当社の方に依頼されることもあります。
横なぐりの強風によって雨漏りが起きることもありますし、ちいさな穴から水が入ってきて、それが一晩続けばバケツ一杯に水がたまることもあります。そうすると、お客さまから手抜きではないかというクレームも出る。今回の瑕疵担保法では、そういう場合に工務店が困るのではないかと思います。
サイディングによってこうしたケースは減りましたが、建築全体のことを見通した施工が必要になってきています。ですから、雨漏りが起こる原因などをまとめたマニュアルを作って、現場の方が色々な事態を想定できるような措置をとっていく必要もあるでしょう。
~続く~
【文・構成:大根田康介】
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