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特別座談会「住宅瑕疵担保履行法」 ユーザーにとって最大の利益とは(5)
特別取材
2009年4月 7日 08:49

自己防衛で問題回避を(1)

福岡大学建築学科	教授 須貝 高  氏  ―ユーザーにとっては結露や雨漏りというのは関係なくて、瑕疵に対する補償を求めるわけですよね。

 須貝 たとえば、コンクリートのうえに直接土台を置いている分は自然劣化ということで構造材の瑕疵には当てはまらない、つまり補償しないということです。では、土台のうえのアンカーボルトがある部分に関しては自然劣化になるのでしょうか。その点をどのような判断になるのか見ておかなければなりません。  

 宇都 今は昔と違って気密性が高いから、自然劣化とは認められないのではないでしょうか。また、仮に結露が起こった際にその工務店が生き残っていれば良いのですが、今後は倒産などで無くなる可能性もあるわけですよね。そこが問題になってくると思います。

 須貝 新築してから10年ですから。建築途中の倒産については補償の対象にならないですね。  

 大石 保険対象外とされたものは基本的に施主さんの負担になるのですか。たとえば5年後に検証したとき、対象外の自然劣化が見つかり、これはまずいとなったときにはどうするのでしょうか。  

 ―結露の場合は工務店が補償しないと仕方ないでしょうね。  

 須貝 工務店は補償せずに逃げることもできますが、そうすると噂はすぐに広がりますよね。  

 宇都 そうなると、次に設計者の責任問題に波及するでしょう。たしか2、3年前に、設計者と工務店が結露で損害賠償を被り、それぞれ1,000万円支払ったという判例がありましたよね。  

 大石 瑕疵は10年で線引きされますよね。それ以降に発見されたものは仕方がないということですか。  

 須貝 今はとにかく10年ですね。  

 宇都 もし設計者による完全な不備が認められれば、設計者の責任になります。

 大石 では、10年経つ少し前に床下を点検したら、結露でカビが生えていていたらどうなりますかね。  

 須貝 それは施主と工務店の話し合いになるでしょう。  

 大石 たとえば換気扇をつけるかどうかは施主の意向次第ですから、そうしたことをきっかけに責任のなすりつけ合いになる恐れはあります。ただ、床下のような普段使わないところの管理まで施主に求めるのは難しいでしょう。  

 宇都 北東と北西の角で問題が起きやすいですから、それが点検できるようなアフターケアをしていく必要はあるでしょうね。

 渡部 我々の会社ではアフター点検に床下点検を今のところ含めていませんが、定期点検項目に床下にもぐって点検するという事柄を追加しなければならないと思います。  

 須貝 そういう視点でいけば、内部で結露しないように我々はここまでやっていますよと、工務店側が言いやすい雰囲気になっている。つまり、そういう住宅であれば安心して住めるのだという認識に皆がなってくるのではないかという気がします。

~続く~
【文・構成:大根田康介】


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