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コダマの核心

個人の『地』の明暗(中) | 激変してこそ企業寿命を延ばすシリーズ
コダマの核心
2009年4月 7日 13:18

 小倉は今後の老人期を偉そうに『地』を通すつもりでいる。しかし、これもそれも自力で意地を通せるものではない。たまたま銀行に入行できたことで、過分な年金セーフティネットに保護されているから減らず口が叩けるに過ぎないのである。ここで問題にしたいのは中小企業を渡り歩いて年金生活を迎えようと宿命づけられた方々の結末だ。50代半ば以下の人たちは70歳まで働かないと老後生活の維持は無理である。世の中の差別構造を批判しても飯の保証は得られない(批判行為自身には社会的評価の価値はある)。彼らがしょうもない頑迷さ(『地』を通す)を捨て切れずに破綻するケースが目立つ。

<子供が大学に入学したにも拘わらず>

 泉岡は56歳になる。13年前に建売住宅を購入した。彼の勤務していた経営者の奔走でマイホームをものにできたのだ。子供達も大きくなり長女が大学入学することになった。入学金もいる。仕送りも必要になってきた。この時期こそ頼りある親父の出番である。普通、家族を守るべき守護神として孤軍奮闘するのだが…。泉岡は相変わらず将来の怠け癖を保ったペースで仕事に携わった。周囲は「子供のために奮闘しろ」とヤキモキするばかりだが、本人は安閑としている。そうなれば収入が急減するのは目に見えていた。

 生活は切り詰めてきた。だが泉岡の稼ぎが減れば子供への生活サポートのお金も送れない。住宅ローンも渋滞しだした。会社に借金を申し出て1回目は許可された。さすがに心配してくれていた会社も2回目の申し出に対しては却下した。その後、会社にローン関係者側からの問い合わせが殺到したので同氏に状況説明を求めた。泉岡は面倒臭くなって次第に欠勤するようになった。結果、退社することになる。

<中小と大の天国と地獄の狭間で>

 6ヵ月のローン延滞になれば金融保証会社もついに差し押さえに動いた。立ち退きの勧告をうけて引っ越しを余儀なくされたのである。彼の奥さんは号泣したあと、愛想を尽かして離婚をした。泉岡のように中小企業を転々してきたものは年金保証だけでは安心して老後を暮らせないことは明白である。だからこそ70歳までは現役で稼がないと、シルバー生活は真っ暗闇だ。まして同氏の場合は子供達が小さい。いまから育て上げなければいけない立場にある。それなのに必死で働こうとしない怠け癖には救う道がない。子供達は頼れない親父を乗り超えて自力で進学する目処もつけたようだ。

 このコーナーでは泉岡の怠け癖を紹介するのが目的ではない。同氏はレベルの高い大学には入学したが、残念ながら中退をして教育者であった父親を落胆させた。ここから慢然人生の『地』を激変しなければならなかったのだ。「中小企業でしか働けない」と認識すれば必死でスキル磨きに注力すべきであったのだが…。この人の老後は生活保護で暮らしている想像しかできない。中小企業で中途半端に生きると悲惨な運命が待ち構えている。大組織にぶら下がっていれば老後においても小倉のように「大口を叩く」『地』を貫いてそこそこに生きていくことが容易だ。人生の結末の無情さを感じさせられる(続く)

(注:登場者は仮名)


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