変化に対応する力を磨きながら 厳しい経営環境を生き抜く
大手コンビニ企業が攻勢をかける中で、ローカルチェーンの動きも見逃せない。熊本の(株)エブリワンは、名古屋に本拠を置く(株)ココストアの傘下ながら、地元九州で独立独歩の戦略を展開。そこから垣間見える変化に対応する努力と工夫をレポートする。
1.地元九州に軸足を置いたコンビニ
エブリワンは1994年、スーパー・寿屋系のコンビニ企業、(株)コトブキヤ・コンビニエンスシステムズを母体として、熊本県内で店舗展開をスタートした。
99年にはコトブキヤ・コンビニエンスシステムズ、(株)リョーユーチェーンサポートシステム(現リックサポートシステムズ)、九州地域スパー本部(株)が業務を統合する形で、九州コンビニエンスシステムズ(株)を設立。同社は00年、名古屋に本拠を置く(株)ココストアと資本業務提携を行ない、01年には株式を譲渡して子会社となり、社名を店舗と同じエブリワンに変更した。
(株)エブリワンは05年、ココストアと九州地区におけるエリアFC契約を締結。ココストア既存店の引き継ぎ、スーパー87店のココストア転換を行なったが、06年には九州内のココストアが名古屋本社の管轄となり、同社はエブリワンとココストアの運営のみにあたっている。
現在、同社は九州全域にエブリワン242店を展開し、総売上げは560億円を突破。セブンイレブンやローソンの出店攻勢が激しい中、独立独歩の戦略で店舗数を拡大し、九州・沖縄地区では大手三社に次ぐ売上げ規模を誇る。
◎寿屋時代から引き継ぐノウハウ
エブリワンはココストアの子会社である一方、九州内のココストアに弁当、惣菜を供給するクック部、沖縄地区での同事業を行なう沖縄営業部などを傘下に持ち、MICSグループを形成する。
これは同社独自の店内加工戦略をベースにした組織で、九州・沖縄で展開するココストアにもこうした商品を提供することで、コストダウンと効率化を推進。同社にとっては収益力をつける大きな柱になっている。
そもそも弁当やパンの店内加工は、寿屋時代に有していたベーカリー業態に、コンビニのノウハウを結びつけてシステム化したもの。
店舗の6〜7坪を厨房設備に割き、パートスタッフがパンや弁当、総菜ごとに調理を担当している。
商品は朝、昼、夜のピークに作りたてを提供するため、前もってその日の製造個数が決められ、それから単品別の店出し時刻、残数の管理、数量の増減などが動いていく。弁当は製造から8時間以内、一般のコンビニの3分の1以下で販売するなど、品質管理も徹底されている。
食材については、商品の製造個数から事前に使用量が割り出され、その日の店舗在庫に合わせて毎日発注・納品される。調理スタッフは3つのピークに合わせ、早朝、午前中時、午後、夜間のパートタイムで稼働している。(つづく)
【釼 英雄】
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