きめ細かな人材育成の仕組み
「業界を読む」シリーズの「コンビニ一人勝ちの理由」でファミリーマートの人材育成に触れた。
ローカルチェーンにとっても、大手に対抗しつつ、売上げ拡大を目指す上で、スタッフ教育によってパートアルバイトをいかに戦力化するかがカギになっている。
エブリワンも人材育成には積極的で、まず教育を専門に担当するSI(ストアインストラクター)が新店の人材教育や既存店の教育支援にあたり、さらに地区担当のSV(スーパーバイザー)が通常業務の中でフォロー指導を行なっていく。
そして、スタッフはオペレーション技術や接客能力を随時チェックされ、評価を与えられるといったプログラムも充実している。
同社では通常SVが、アルバイトに対しては身だしなみからレジ接客、品だし、クレンリネス、新商品の対応まで、店長やベテランスタッフにいたっては発注業務やスタッフ教育、店舗運営全般までを採点し、店ごとの成績リストを作成して、すべてを開示している。
新店の場合、本部からSIやSVが派遣され、オープン時に最高の運営レベルになるように指導教育が行なわれる。しかし、その後に支援がなくなると、スタッフの教育がままならずオーナー自身が全てを負うことで、店舗運営が不安定にならないとも限らない。
そのため、同社ではSIがオーナーや店長もちろん、SVまで教育することで、オープン以降も、彼らが末端のアルバイト教育にもかかれるようにしている。
アルバイトのやる気を引き出す工夫
ただ、いくら教育指導が徹底されていても、実際にスタッフが教えられた内容を理解して仕事をしているか、それを図るバロメーターが必要になる。
エブリワンでは教育指導が通常業務でどれほど効果を出しているか、業務ごとに評価する様々な機会が設けられている。
上期、下期ごとに優秀な店舗を評価する第3者評価優秀店表彰。衛生管理やクリンリネスでの優秀店表彰、お歳暮ギフト獲得キャンペーン表彰などがそうだ。
さらに毎年、展示会場ではチェッカーコンテストが開催される。こちらはアルバイトスタッフのモチベーション向上を目指しながら、店長やオーナーの指導レベルも判断する重要なプログラムのひとつだ。
コンテストはまず、九州全域のエブリワンとココストアのアルバイトを対象に地区大会を開催。そこで1位になった10名が本戦に出場し、最優秀スタッフが決定する。審査内容は挨拶からレジ接客、カウンター作業、新商品の告知、クロージング、そして謝辞謝礼まで。そのレベルはとてもアルバイトとは思えないもので、最優秀者に表彰状と賞金5万円が授与される。
実際、コンテストは単なる教育プログラムの枠を超え、お客に対しての姿勢や売上げを上げるための方法の理解、SVとの連携、問題点の改善など、店長やスタッフのやる気を引き出すという部分で、かなりの効果を発揮しているようだ。(つづく)
【釼 英雄】
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