CRC 企業再建・承継コンサルタント協同組合による 「企業再生の現場から!!」
経営は人なり!! 資金対策は最も経営者の人間力が問われる!!
主に中小企業のオーナー経営者の方々から、資金繰りや経営改善・後継者問題などの相談を受けることが少なくありません。とくに去年の秋ごろから、「今すぐ資金を調達してもらえないか」と慌てて相談されるケースが増えています。そうした「資金調達」の相談に来る経営者の多くは、「銀行が自分たちの会社を全く理解してくれない」とぼやく傾向にあるようです。確かにその傾向がないとは言いきれません。しかし、果たしてその経営者は銀行のことをどこまで理解しているでしょうか。
どんな交渉事でも、相手を全く理解しなかったり、あるいは不確かな情報に基づく誤解をしたままで自分のことを一方的に話すようでは、まとまる話もまとまりません。相手はどのような人で、どんな考え方をしているのか。銀行目線を理解しようともせずにぼやいても、決して前向きな解決手段は生まれません。
そこで今回の連載では、当組合会員の鈴木隆雄氏の20年近くに及ぶ大手銀行での融資経験、さらに企業再建のコンサルタントとして実際に経営者と共に銀行に対峙してきた経験に基づき、最近の銀行の考え方や目線などをお伝えします。適切に対応することで、結果的に銀行と上手く付合うことができ、多くの皆さまがこの難局を乗り越えられればと願っています。また、もう1点忘れてならない大事なことは、「上手な付き合い方」が、場合によって「上手な別れ方」にも通ずることです。
さて、1回目は「銀行の目線」について紹介します。ポイントとなるのは、「融資の考え方が時代によって変化する」ということです。例えば、10年以上前では貸出先に多少リスクがあっても案件が優良であれば融資が行なわれる場合がありました。しかし、今では貸出先そのものにリスクがあると、優良案件であっても融資が行なわれないことが多く、それがほぼ常識となってきました。
例えば、案件としては明らかにその会社の収益に資することが確実なマンション建設案件でも、その会社自体のリスクを見て借入の申し出を拒絶されるケースが多くなりました。結果的に今では「90%近くのマンション建設への融資がストップしている」とまでいわれる状況のようです。
ある意味で旧き良き時代だったころは、銀行の支店長が社長に直接会い、業績など数字で不足する部分があっても、社長の人柄などを見ながら属人的に判断していた部分もありました。しかし今はそのウエイトが下がり、定量評価(ほとんど決算書)で評価されてしまう時代になったといえます。また、バブル崩壊後の貸渋りや貸はがしなどを経験し、経営者も銀行に対して距離を置くようになりました。以前のような銀行との付合いは難しくなりました。
「会社が赤字続きで業績が悪いから銀行から相手にされない」。これは昔からある当たり前のことですが、そこには借りと手貸し手の間に共通の認識がありました。ところが最近はその認識に相当のギャップがあり、それが元で、お互いが不幸になる結果を導きかねない状況になっている例が多く見られます。その要因の一つが銀行による貸出先のランク付けです。金融庁の金融検査マニュアルに基づく債務者区分、債務者格付についてはご承知の方も多いでしょう。次回はその考え方、仕組みなどについて分かりやすく整理していきます。
CRC 企業再建・承継コンサルタント協同組合
協力: 建通新聞社 http://www.kentsu.co.jp/
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