リサイクルの体制づくり
02年、食品リサイクル法が施行された。法律の目的は、食品の製造、流通、消費、廃棄物等に関わる事業者が一体となって、食品の売れ残りなど食品廃棄物をできるだけ抑え、食品廃棄物のリサイクル化を進めるものだ。
07年には法改正が行なわれ、フランチャイズチェーンなどの食品廃棄物の多量発生事業者への報告義務化とリサイクル・ループが打ち出された。それまでメーカーなど川上の事業者は再生利用率が80%を超えていたが、川下に行くに従って再生利用率は低下。そこで国は川下に厳しい規制をかけたのだ。
特に機会ロスを避けたいコンビニは、在庫を抱えるため必然的に廃棄物の量が多くなる。
それは1店舗あたり1日12kg〜15kgにもなる。コンビニ全4万2000店では重さにして毎日500万トン〜630万トン、金額ベースで5億円〜7億円にも相当する。
ただ、1店あたりの売上げが頭打ちということを考えると、それがリサイクルのコスト負担の足かせになっているのは否めない。コンポスト設備なども店舗面積が限られるコンビニでは導入には限界がある。
しかし、コンビニが社会の公器として存在し続けるためには、リサイクルへの取り組みは待ったなしの至上命題。廃棄物をできる限り抑えるために発注の精度を高めるのはもちろん、積極的なリサイクルシステムの構築にも取り組んでいかなければならない。
廃油は100%をリサイクル
エブリワンの本社がある熊本市は九州でもゴミの分別やリサイクルには積極的なことから、同社は全社的な体制づくりを進めている。
熊本市の場合、店舗から出る紙類やプラスティック、段ボールといった燃えるゴミ、ビンや缶などの資源ゴミ、錆びた金属や電池などの埋め立てゴミ、そしてペットボトルというように全て分別される。また、弁当やパン、惣菜などの生ゴミと廃油のほとんどが専門の業者を通じてリサイクルされている。
農水省の指導で4年後には企業から出る生ゴミは、45%までリサイクルしなければならなくなった。ただ、コンビニの場合、多県にまたがって店舗が存在するため、地域の事情で一律には進められない面もある。
そのため、同社ではそれぞれの店がどれだけの量をリサイクルすれば、国の指導に合致するか、目下試算を進めているという。
店舗が出すすべてのゴミが定量の場合、計算上は100店舗中45店がリサイクルすれば45%。これなら達成できない目標ではない。
もっとも、ゴミの分別になると、スタッフの作業量が増えるため、既存店では嫌がるところもあるようだが、新店のように最初からルール化されていればすんなり取り組めそうだ。それゆえ、店任せにするのではなく、本部が一丸となって指導啓蒙ながら、並行して食品廃棄物をできる限り抑えるためのシステム改革や商品作りも考えていくという。(つづく)
【釼 英雄】
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