吉田宏福岡市長 |
福岡市が人工島事業及び市立病院統合移転事業について行なった「検証・検討」の方向性を決めた重要な会議の議事録が、一切残されていなかったことが明らかとなった。データマックス取材班が福岡市に情報公開請求して確認した。政策決定過程を明かそうとしない吉田市政の在り方に、改めて批判の声があがりそうだ。
アイランドシティ事業と市立病院統合移転事業については、07年4月から「検証・検討」チームが結成され31回の会議を行なった。その結果は同年12月に「検証・検討報告書」としてまとめられたが、会議の議事要旨は全て公開されている。ただし、何度も報じてきたようにデータマックスが指摘するまで議事要旨は作成されていなかったのである。
吉田宏氏が市長になってから、福岡市はその政策決定過程について、些細なことまで隠蔽するようになった。例えば、市長が国への要望等で東京出張した折、省庁のどの局に行ったのかを聞いても「政策決定過程については教える必要がない」として突っぱねるようになった。山崎前市政には無かったことである。何か隠していると考えるのが普通だろう。
昨日まで報じた「検証・検討」チームの職員が保有する文書の有無についても、確認もせずに「存在しない」として非公開決定を出すお粗末さである。
これまで「検証・検討」ばかりに注目が集まってきたが、実はその「検証・検討」の前段階で、重要な作業が行なわれていた。07年1月から3月までに行なわれた「アイランドシティ事業検討会議」である。同会議は市長室長、市参与らを中心に結成された8名からなるチームで、合計6回の会議を行い、4月から行なわれる予定だった「検証・検討」についての方針を定め、3月末に結果だけを公表した。
しかし、この重要な会議の議事録が残されていなかったことが新たに判明したのである。同会議に関係する文書について情報公開請求したところ、議事録はないという。
「検証・検討」の方針を決めるにあたって、どのような議論をしたのかは市民に公開されるべきである。福岡市の担当課は、会議の結果をまとめ「アイランドシティ整備事業及び市立病院統合移転事業検証・検討の方針」として記者発表したから問題はないというが、肝心なのは会議の中身である。政策決定過程が見えないということは、どうやって市政の方針が決められたのかが分からないに等しい。
検証・検討の議事要旨は公表しておいて、その方針を決める会議の議事録がないというのは全くおかしな話であろう。吉田市長は市長選挙の折、唐突にオリンピック誘致を決めた山崎前市政を厳しく批判した。市民の見えないところで物事が決まることは良くないとまで言い切ったのは吉田市長である。重要な会議の議事録も残さず、会議がどのように進められたのか検証もできない状態は、明らかに市民にとっての不利益でしかない。福岡市は「検討会議」の議事録を公表すべきだろう。
【市政取材班】
※記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら