2月に決算期を迎えた大手コンビニ5社の連結決算が出揃った。上半期はタスポ効果により、大幅な増収が予想されたコンビニ業界。下半期はリーマンショックを端に発した世界大恐慌により個人消費が著しく落ち込む中で各社奮闘した。
業界トップの(株)セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイHD)は、同社のコンビニ事業で営業収益2兆3,086億9,000万円と前年同期比で▲3.6%となったものの、依然として業界でダントツの売上高を維持している。PB商品「セブンプレミアム」の販売に注力したことと、前期末比で264店舗増加したこともあり国内は好調であったが、連結子会社のアメリカの7-Eleven,Incを連結する際の為替レートが円高になった事などにより若干の減収となった。
(株)ローソンはチェーン店全店の売上が1兆5,587億8,100万円と前年同期比で+10.2%となった。ローソンなど4業態店舗の総数が前期末比で940店舗増加したことに加え、加工食品の売上高が前年同期比+16.2%となったことが大幅な増収につながった。
(株)ファミリーマートはチェーン店全体の売上高で1兆3,882億1,700万円と、前年同期比で+10%(持分適用会社分を含めた場合は1兆6,604億8,500万円)となった。高速道路、大学、病院などへの出店を積極的に行なった事が増収に寄与した。
(株)サークルKサンクスはチェーン店全体の売上高が9,402億3,200万円と、前年同期比で+4.2%。タスポ効果による「ついで買い」によるファーストフードや加工食品の売上が伸びたことが大きい。
ミニストップ(株)は加盟店を含む全店売上高3,029億1,100万円と前年同期比+7.3%。グループのイオンのPB「トップバリュ」のアイテム数が前期末よりも+113の349アイテムとなり、トップバリュ商品のみの売上は前年同期比で+60.8%となり、消費者の低価格志向をうまくキャッチしたことが増収につながった。
前期はタスポ効果という突発的な売上増加に見舞われたコンビニ業界ではあるが、個人消費が低迷し、景気回復の先行きが見えない今期は真価の問われる一年になりそうだ。
【矢野 寛之】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら