みずほグループは4月1日にトップ交代をしたが、実質的に3人の前トップが「院政」を敷く形となり、世代交代は名ばかりだ。権力を手放さない3トップ、とくに女性記者との不倫スキャンダルが暴露されたにもかかわらず居座るみずほコーポレート銀行の斎藤宏会長に、行内の不満が高まっている。
親子ほどの歳が離れた2人が夜の街を仲むつまじく歩いてゆく。ロマンスグレーの頭髪の紳士はネクタイをだらしなく締め、酔いで顔は赤い。娘といっても不思議ではない女はなにやら親しげに話しかけている。2人が南麻布に構えた愛の巣から、女が日経新聞朝刊を片手に出勤する様子もカメラは捕らえていた。
写真週刊誌『フライデー』は昨年夏、斎藤頭取(現会長)とテレビ東京女性記者との密事を盗撮スクープし、同記事は編集長が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞の話題賞に選ばれた。おそらくその際に撮られたと思われる写真のうち、雑誌に掲載されていない非公開の写真約10枚がDVDと一緒に今年1月26日、みずほコーポレート銀行の全役員に送りつけられた。B5版の封筒に同封された「みずほコーポレート銀行役員の皆様へ」と題した手紙にはこうある。
「斎藤は社用車を使用して愛人を送迎し逢瀬を重ねていた。愛人を囲っているマンションとともによく調べなさい(中略)写真・DVD、よく見るのだな! これはわれわれが握っているまだ一部にすぎない」
受け取った同行の役員の一人は、開封して背筋が凍った。「斎藤が明らかに我々の内部事情に通じた者に標的にされています。ふつう銀行員が張り込みや高感度フィルムでの撮影なんかできません。当行の不満分子が誰か外部勢力と組んでいるのではないでしょうか?」
彼が写真とDVDを受け取った日の午前中に、秘書室長があわててやってきて回収して帰った。
おそらくこの「怪写真」は、1月16日にみずほグループが役員人事を発表したことを受けての揺さぶりだろう。みずほグループは、持ち株会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)の前田晃伸社長(旧富士銀行出身)、みずほ銀行(BK)の杉山清次頭取(旧第一勧銀出身)、みずほCBの斎藤氏(旧日本興業銀行出身)の3氏がそろって会長に昇格する人事を発表し、サブプライム関連の損失や女性スキャンダルへの批判など馬耳東風の様子だった。報酬カット程度のケジメさえつけず、そろって昇格である。(つづく)
【神鳥】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら