福岡市経済振興局長 渡辺 正光氏
福岡市経済振興局は港湾局と共同し、博多港への企業誘致、博多港を利用した観光誘致などの施策を進めている。そうした活動をはじめ、経済振興局の取り組みについて、渡辺正光局長に伺った。博多港の役割に期待する渡辺局長は、アジアとの近さ、人流・物流のスピード化などのPRに力を入れていることを強調し、施策推進の決意を語ってくれた。
陸・海・空のインフラを生かして
――経済振興局では現在、どのような施策を取り組んでおられますか。
渡辺
09年度の取り組みについてご説明します。局としての目標は「日本で一番仕事がしやすい都市(まち)・行ってみたい都市(まち) 福岡」であり、4本の施策推進の柱を掲げています。
1つは「がんばる企業・事業者が活躍できる都市(まち)」で、既存の企業・事業者への支援です。ほとんどが中小企業ですので、中小企業の皆さんが頑張れる環境、活躍できるまちを目指すのが一番大きな柱です。
2番目は「活力を生む新しい産業が芽生え、育つ都市(まち)」です。経済は常に陳腐化していきますので、新しいものに挑戦して新規産業を育てていかないといけません。
3番目は「企業・人・モノが行き交う、アジアのビジネス拠点都市」で、港湾はここに関係してきます。企業数が多くなり、商売が繁盛しないと経済は活性化しませんので、国内外から企業を誘致しています。国際ビジネス振興のため、上海に事務所を置き、中国に進出する福岡の企業さん、福岡に進出する中国の企業さんのサポートもしっかりやっています。
4番目は「魅力にあふれ、国内外から人が集い来るおもてなしの都市(まち)」です。福岡の特色は第3次産業に特化していることで、外からたくさんの人に来てもらい、消費していただくことが活性化につながりますので、国際集客都市づくりに取り組んでいかなければなりません。重要施策の一つとして「ビジターズ・インダストリーの基盤づくり」を挙げています。「ビジターズ・インダストリー」とは「集客産業」という意味で、今までの「観光」という概念を広げた考え方です。福岡には観光だけでなく、ビジネスでもたくさんおみえになります。集客に関わる様々な事業者を含めて、官民一体で皆さんをおもてなしする都市を目指そうということです。
「福岡は交通の要衝」といわれるように、陸・海・空のインフラがそろっています。実は一つの行政体に陸・海・空の拠点が入っている都市はほかにありません。東京都というくくりであれば全部入っていますが、市レベルで3つとも入っているのは福岡だけという、非常に恵まれた環境なんですね。市域もコンパクトです。ですから、そういうものを生かした経済振興が大事だと思っています。
――「新産業の振興」にも取り組んでおられますが、現状はいかがですか。
渡辺
実績がしっかり挙がっているのは情報関連産業で、シーサイドももちにある福岡ソフトリサーチパークには約200社に入っていただいています。6.3ha程度の狭い面積ですが、年間総生産は600億と大きく、市内総生産の約1%になっています。当初は業務用ソフトウエア関係が多かったのですが、今はシステムLSI開発の大拠点になっています。
新規施策として「九州先端科学技術研究所支援等(カーエレクトロニクス関連事業)」に取り組みます。カーエレクトロニクスとは自動車に搭載されているコンピューター関係で、この研究開発にしっかり取り組むことで、頭脳部分の集積が進み、最先端をいくことができます。(つづく)
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