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特別取材

「銀行との上手な付き合い方」シリーズ(4)
特別取材
2009年4月23日 09:02

CRC 企業再建・承継コンサルタント協同組合による 「企業再生の現場から!!」
経営は人なり!! 資金対策は最も経営者の人間力が問われる!!

 個々の債務者は、債務者区分によって、(1)正常先 (2)要注意先(要管理先) (3)破綻懸念先 (4)実質破綻先 (5)破綻先―に分けられ、さらに担保や保証状況により、それぞれの貸出資産が「正常債権」「要管理債権」「破綻懸念債権」「破綻債権」に分類されます。金融機関はこうした分類に沿って、個別の貸倒引当金対応を決定します。今回はその区分の決め方と、それに伴う銀行対応の変化、その背景などを解説します。
 つい最近まで、企業の約8割(現在は割合が下がっていると思われます)が「正常先」に分類されていました。ただし、正常先の会社が2年連続で赤字になった場合などは「要注意先」に区分される可能性が高くなります。
 正常先が要注意先になった場合、銀行は貸出元本のうち、預金などの優良な担保でカバーされていない部分に対して、1%~15%程度の貸倒引当金を積まなければなりません。また返済条件を緩和していたり、正常な運転資金ではない長期間の元本据置の借入(運用資金など)がある場合は、要注意先の中でも特に「要管理先」に区分し、30%程度の引当金を積む必要があります。
 分かりやすく説明すると、1億円を不動産の担保で貸している融資先が要注意先になると、その融資先が延滞していなくても、銀行は100万円~1,500万円の引当金を積まなければなりません。銀行にとっては100万円~1,500万円の会計上の損失が発生することになります。
 この結果、銀行はどのような対応を取るのでしょうか。銀行にとっては、従来と同じ金利で貸し続けると赤字になってしまします。「金利を大幅に上げさせてください」と融資先に交渉せざるを得ない事態に陥るのです。
 さらに上記に加え、資産を時価評価に引き直した場合の貸借対照表(実態バランス)が債務超過の状態(総資産より負債が多い状態)で、その状態を脱するのに長期間(5年以上など)を要したり、借入金の返済に超長期(30年以上など)を要する場合には、「破綻懸念先」や「実質破綻先」に区分される可能性が高くなります。
 破綻懸念先の場合、銀行は無担保部分の50%~70%の貸倒引当金を引き当てなければなりません。また、実質破綻先に対しては、無担保部分の100%の貸倒引当金を積むという厳しい対応が迫られます。
 こうした貸出は、銀行にとって極めて不採算で重荷となります。新規貸出を一切行わないだけでなく、「今後どのように処理していくか」を考える対象に切り替えます。担当部署も、本部の専門部署にまとめられるケースがほとんどです。また、銀行は「利息はあきらめても、とにかく元本を優先的に少しでも多く回収する」ことを目指します。それが預金者や株主の利益につながると判断するからです。支店から本部に窓口が変わったり、「返済は元本を優先で行ないます」などと言われたら、破綻懸念先以下に区分されていると思った方がいいでしょう。
 一方で借り手にとっては、債権がサービサー(サービサー法に基づく民間の債権回収専門会社)などに売却されたり、さらにひどい場合には執拗な一括での返済要求を受ける可能性もあります。
 銀行は通常、毎年融資先の決算後3~4カ月の間に決算書をベースとして債務者区分を見直し(自己査定)ます。決算書を見る際には、不動産や株など価値に変動がある資産や、売掛金など回収不能な債権が含まれている可能性がある資産について、時価や回収可能性に基づいた現在価値に引き直してチェックを行ないます。決算書の表面上は正常先に見えたとしても、結果的に債務超過と判断されてしまう場合も多くあります。特に不動産関連や建設土木関連の業種については、特に厳しく見られているようです。
 実際に「銀行の対応が変わってきた」と感じている方も多いのではないでしょうか。ただし、銀行は債務者区分を積極的には教えてくれません。自社の区分がどの位置にあるのか、不安な場合などには社外の専門家などに相談してみるのもいいでしょう。次回は建設業、不動産業に対する銀行の決算の見方について、「実態バランス」に焦点を当てて解説します。


CRC 企業再建・承継コンサルタント協同組合
協力: 建通新聞社 http://www.kentsu.co.jp/

CRC 企業再建・承継コンサルタント協同組合
企業再建支援、M&Aなどのコンサルティングは当社へ
www.crc.gr.jp/


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