北九州の大学経営者に聞く
― 北九州市立大学阿南理事長
≪安全、安心が重要な時代になってきたからこそ、北九州の環境技術や先進のカーエレクトロニクス、ロボット技術を推進することで必ず国際的に競争力のある都市として勢いがでてくる。≫
100年に一度と言われる大不況化での、北九州市立大学として果たすべき役割を阿南理事長に聞いた。
阿南理事長―
まず北九州という都市が国際的な競争力として持っている「環境技術」をもっとビジネスとして広げていけるように、産官学が連携して戦略づくりを進めていくことが必要だと思います。
残念ながら第2次産業都市、かつてのモノづくりの都市としてのパワーは、国際的な競争激化で相対的に衰えてきていると思います。
だからこそ、しっかりした産業誘致と共に、環境問題に役立つ技術の集積や産業育成政策が重要だと思う訳です。
安全、安心が重要な時代になってきたからこそ、北九州の環境技術や先進のカーエレクトロニクス、ロボット技術を推進することで必ず国際的に競争力のある都市として勢いが出てくると信じています。
また第1次産業や第3次産業にも、もっと大学は貢献していかなければならないと思います。
北九州は海に囲まれ、山や森など自然に恵まれています。海産資源、森林資源をもっと活かせる研究で、本学も貢献できるようになりたいと思います。
更に物流など第3次産業も北九州という立地はアジアの中で非常に有利なポジションにあります。
まちづくり、まちおこしと合せてこの立地を活かす戦略をもっと具体的に描けるように産官学連携で本学がリードしていければと思います。
ところで不況下で学生の就職活動はいかがでしょうか。
阿南理事長―
今年卒業した学生の就職率は工学部で約98%、文系は80%台で平均して約90%以上が就職できました。
問題は今年の就職活動だと思います。
どの企業も採用人数を大幅に絞ってくることは間違いないでしょうが、学生にとっては非常に厳しい1年になるでしょう。私も企業で人事畑にいましたので、企業側の採用を控えざるを得ない苦しい事情はよく分かります。
しかし、大学側も徹底した就職指導を進めますので、学生には挑戦する気持ちを失わずに、全力で頑張ってもらいたいと思います。(つづく)
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