福岡市が、「アイランドシティ整備事業及び私立病院統合移転事業 検証・検討会議」の「議事要旨」作成のもとになった文書を廃棄していた。23日、データマックス取材班が福岡市に出した情報公開請求への市側の回答で明らかとなった。こども病院人工島移転を決めるにあたり、吉田宏市長が「軸にする」とした「検証・検討報告」に至る正確な記録が存在しないことになる。同時に、「議事要旨偽造」の疑いも浮上している。
請求に対する市の「公文書非公開決定通知書」によれば、「議事要旨」は、検証・検討チームが会議で使用した資料と、同チームの事務局職員による筆記メモなどをもとに作成されたが、同メモは担当者の「備忘録」として残したもので公文書ではなく、既に廃棄したとする。
市総務企画局企画調整部の課長によると、議事要旨を作成した時点でメモを棄てたことを当時の担当職員に確認しているという。検証・検討チームが個人的な「備忘録」しか残さなかったということは、市の最重要施策決定までの記録を残す努力を怠ったことの証明でもある。見方を変えれば、あえて隠蔽したと言われても仕方があるまい。こども病院人工島移転をめぐる一連の経過は、ますます不透明になった。
また、同課長に、ホームページ上で公開された「議事要旨」は、真実を記したものかどうか証明できるのかと聞いたところ、「廃棄した、と言うしかありません。会議で使用した資料やメモに基づき作成されており、嘘ではないはず」と答えている。これは、議事要旨のもとになる文書が廃棄されたことで、市が「議事要旨の信憑性」について証明することが困難となったことを示している。さらに、市側の説明通り、議事要旨が複数の資料をもとに作成されたとするなら、都合のいいように「偽造」した疑いを否定できなくなる。
「議事要旨」をめぐっては07年、「検証・検討」作業が続く10月の段階で、検証・検討会議第9回目以降の議事録について全て作成されていないことがデータマックスの指摘で判明、同年5月(9回目)以降の十数回の会議については、遅れて作成された経緯がある。(つづく)
【市政取材班】
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