アイランドシティ(人工島)事業や市立病院統合移転について、吉田宏市長の選挙公約に基づき実施された「アイランドシティ整備事業及び市立病院統合移転事業 検証・検討会議」の「議事要旨」のもとになる文書が廃棄されていたことが明らかとなった。データマックス取材班が出した情報公開請求にたいする福岡市の「非公開」決定理由による。(本日既報)またしても「公文書毀棄」である。
市によると、問題の「議事要旨」作成のもとになったとされるのは、検証・検討会議で使用された資料と同会議事務局職員のメモだという。しかし、「議事要旨」は発言内容の詳細が記されている上、その「語尾」まで正確に表現されている。録音等の「電磁的記録」がなければ再現することは難しいものだ。例えば議事要旨の次のような記述である(強調部分はデータマックスによる)。
「数字で言えば、どれも選べるレベルでない。それは翻って、新しく土地を買って整備するのは大変なこと、相当な繰り入れ覚悟でやらないといけないということを確認するというレベルでしかない。一方で、これは医療機能の選択のためにやっているのだから、もう少しわかりやすいパターンわけでないと。さきほど出たように、バラバラなパターンがでている。こどもだけならこうなって、それに足していって最後がフルスペックではどうなるということならわかりやすいが、その足し方が色々でわかりにくい。この試算は、それぞれ最適化する仕組みにしているので、結果が揃ってくるため比較がしづらい。間に合うならもう一度やりかえてもらいたい」(第16回・検証・検討会議議事要旨より)
「1次救急の整理は、専門家に聞いてほしい。急患センターで小児医療を行っているが、実際、小児専門医ではなく、内科医が行っているということがあって、逆に、小児の一次救急をすると、9割くらい風邪のようなこどもさんが来て、本当に重たい救急ができなくなるという話がある。それを踏まえると、小児救急のあり方について、きちんと福岡市として考え、各区の拠点小児1次救急病院というのを確保すべき。そうした上で、二次救急、三次救急の体制を整えて。風邪みたいな症状があれば、近くの小児救急指定病院にいってくださいと。その上で、こども病院の担うべき小児救急はやはり二次救急から、というような整理か必要。どうしても近くの小児病院より、こども病院に連れて行くようになると思う」(同)
こうした 表現がメモから起こせるとは思えない。議事要旨は、会議終了から長いもので7か月後に作成されたことになっており、それまで電磁的記録(録音など)も含めて詳細な記録が残されていたことは明白である。市側は議事要旨を作成したため不必要になったから基になる文書(市側はメモと表現)を廃棄したとするが、とんでもない話である。市の情報公開条例第2条には「公文書」を次のように規定している。(分かりやすくするため一部を省略)
「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう」
つまり、会議の内容を記した文書・電磁的記録等は、記録を残すと同時に議事要旨を作成し、公表するため「組織的に用いた公文書」だったことになる。それを捨てたというのだから立派な公文書毀棄である。こども病院人工島移転を決めた経緯も含めて、全てを隠蔽する吉田市政のあり方に改めて批判の声があがることは必至の状況となってきた。
【市政取材班】
※記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら