時代が急激に変わり、メーカーが問屋を介さない直販体制になっていった。バンダイのハピネットなどのように、別会社によりメーカーが直販で卸すようになったのだ。その最大の要因が、1990年代初頭に日本に進出した、世界一の玩具小売・トイザらスの存在だ。日本マクドナルド設立に寄与した藤田田氏が、平成元年にアメリカ・トイザラス本部と提携して「日本トイザらス」を設立。平成3年の茨城県の第一号店を皮切りに、全国各地に次々と店舗網を広げていった。
奇しくもこの年は、佐賀の桃太郎本店の売上高がピークとなり、リニューアルしてさらなる飛躍を目指している時だった。玩具小売としては莫大な売上を誇ったトイザらスの日本進出が、玩具業界の流通全体を大きく変えてしまった。「全国各地に大型店をオープンして安売りを展開したトイザらスのおかげで、その周辺の玩具小売店がことごとく廃業や倒産をしていった。一方で、量販店も負けじと玩具の価格競争に力を入れていき、ダイエーなどでも2割引き、3割引きが当たり前になっていった。これで玩具は儲からなくなった」(徳蔵)。
桃太郎の場合、昔は1,000円の商品ならメーカーからの買い値が550~580円、小売への卸値が660~680円くらい、粗利で15パーセントほどだった。また、昔はロスが無く、多少古い在庫でも売れていた。商品そのものに流行というものが無かったからだ。1年先でも2年先でも定番でずっと売れるような商品ばかりで、以前は仕入れ過ぎたとしても、定価で売れる商品が主流だった。
しかしこの頃になると、キャラクター商品が主流となっていった。「商品の性格からして、どれも長くは流行が続かないものばかり。短期で入れ替えが発生するので、必然、ロスが多くなっていった。昔は安いから売れるという性質の商品は無く、日本全国どこの店に行っても、1,000円の商品なら1,000円で、横並びの同じ価格に設定されていた」(徳蔵)。
トイザらスが仕入れ力に物を言わせて安売りし、ダイエーやジャスコなどもそれに追随して安売り戦略をかけていった。とは言え、これらの店舗も当初は定価販売をしていた。昔ながらの玩具の性質を知っていたからだ。また、問屋もメーカーも一緒になって「安く売ってくれるな」と小売店に言い聞かせていた。
しかし、トイザらスがそれを守れなくなり、原価よりも安いのではないかと思われるような価格で売り出していった。ここで一気に全体の値段が崩れた。「問屋が成り立たなくなったし、小売店は苦しくなった。メーカーも直販ではないと成り立たなくなった。この10年間、玩具業界はメーカーも問屋もどんどん倒産していった。それがずっと続いてきた」(徳蔵)
~つづく~
JR博多駅で九州~山口の≪地域限定≫キャラクターグッズを数多く取り揃えている(株)博多桃太郎。その同社の歴史を余すところなく書き記した本が完成しました。無料で配布しておりますので、御入用の方は092-431-6575(名店街店)までお問い合わせください。 【語り手】 西村徳蔵 <(株)博多桃太郎 相談役> 西村信子 <徳蔵の妻、徳久の母> 西村徳久 <(株)博多桃太郎 代表取締役社長> 【書き手】 大根田康介 <(株)データ・マックス記者> 【写真提供】 (株)博多ステーションビル 博多駅ビル名店街・地下街商店会事務局 |
【博多桃太郎の一押し商品】
【会社概要】
名店街店<本店> |
博多通り店 |
シネマテーク |
博多駅中央街1-1-1-11 TEL:092-431-6575 FAX:092-431-8477 |
博多駅中央街1-1-2-24 TEL:092-431-6576 FAX:092-431-8477 |
佐賀市大財1-5-60 TEL:0952-28-6708 |
■通信販売:(楽天店)http://www.rakuten.ne.jp/gold/h-momo/
※記事へのご意見はこちら