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「世襲」 開かれた議論を(下)
政治
2009年4月28日 08:49

 弊害が指摘される「議席の継承」という形での世襲は、制限の対象となるべきものであろう。しかし、議席ではなくあたかも政治家を「家業」にしているような場合、議席の継承と同じように世襲として片付けることができないものもある。
 例えば先代が地方自治体の首長などのケースがそうだ。父親がある自治体の名物市長で、知名度・実力ともに絶大だったとする。その子が国会議員を目指せば当然有利になる。選挙区内に一定の地盤、看板、鞄を有するからだ。また、その逆に、先代が国会議員で子どもが首長になるケースも世襲と呼ばれることが多い。当の本人たちは「世襲ではない」と言いたいはずだが、政治家である先代の影響を受けた2世あるいは3世については「世襲」と見なす傾向が強い。これを制限の対象に加えることは難しいだろうが、地域の政治を一つの家系で動かすことへの疑問は残るだろう。
 さらには、先代が衆議院議員で子どもが参議院という例も存在する(もちろん、その逆もある)し、現職総理の息子が別の選挙区で出馬する場合も世襲と見なされるかもしれない。何らかの形で先代の恩恵を受けている政治家が、ひとからげに世襲と考えられることが多いのは事実である。問題はまだある。
 民主党は世襲制限の対象を同一選挙区での「3親等以内の親族」としているが、甥・姪であっても世襲と見なされることになる。そこまで規制してしまえば、逆に有意義な人材を眠らすことになるとの意見も出てくる。果たしてどこまでを世襲とみなすのか、という議論が置き去りにされているのではないだろうか。

 世襲についての定義づけもなされないまま、政局の道具としてこの問題が論じられる事は好ましくはない。具体的な弊害も含めて、どこまでを世襲と見なすのか、開かれた議論を重ねることが先決であろう。なぜなら「世襲はけしからん」との意見が多いなか、国会の議席は政治家2世や3世でいっぱいになっている。選んでいるのは、ほかならぬ有権者なのだ。世襲に対する疑問は、現在の政治状況を作った有権者にも突きつけられているのである。世襲制限も結構だが、知名度や資金力で当選が決まるような選挙の在り方そのものも変えなければならない。候補者をより身近に知ることのできるシステム作りや、戸別訪問の解禁を含む公選法改正も必要ではないだろうか。世襲を規制することに反対はしないが、新人も世襲政治家も、同じ土俵で競い合うことのできる制度の確立こそ大切だろう。
 有権者が厳しい目で候補者を見極めれば、世襲政治家ばかりという現状は変わるはずだ。

【秋月】

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