九州地方整備局 港湾空港部長 梶原康之氏
地方分権の流れもあり、港湾整備における国の関与は次第に縮小。そうした中、博多港では国際水準の港湾サービスの実現に向けたアイランドシティ地区のコンテナターミナル整備や老朽化した須崎ふ頭の機能アップなど、国が直轄する港湾整備が着々と進む。国の港湾行政の中で博多港はどう位置づけられ、整備されているのか。九州地方整備局港湾空港部の梶原康之部長に語っていただいた。
国の関与は縮小傾向に
――国内の港湾整備ならびに管理の状況は?
梶原 港湾の整備や管理は1950年に制定された港湾法に基づいて行なわれています。その港湾法の大きな枠組みは制定時から変わっていません。横浜港や神戸港は戦前、国営港湾でしたが、戦後はアメリカ型のポートオーソリティ形式にして民主化するというGHQの方針のもと、地方自治体あるいは地方自治体が設立した港務局などが港湾管理を行なうようになりました。その後、60年代にコンテナ輸送が登場し、専用の荷役設備を備えたコンテナ埠頭の整備が必要になりました。その整備と管理は国策で進めなければいけないということで、外貿埠頭公団を京浜と阪神に設立してコンテナ埠頭の整備が進められてきましたが、行革の一環として82年に公団は廃止され、国の港湾整備ならびに管理への関与が縮小されました。さらに、地方分権の流れの中、2000年には国の直轄事業を限定すべきだということで法改正され、国が整備するのは重要港湾が海上輸送網の拠点として機能するために必要な、基幹的な施設に限定されました。しかも、その管理を地方自治体である港湾管理者に任せています。というわけで、港湾管理者は国有港湾施設とそれ以外の港湾施設を一緒にひとつの港として管理運営するという状態になっています。
――なるほど。
梶原 ただ、コンテナ埠頭はかなり専門性の強い施設です。しかも、コンテナ船自体も急激に大型化している上、船社などが広い用地を専用的に使用するなど、一般の公共埠頭とは運営の形態がかなり異なります。そうした中、コンテナ埠頭と小型船の施設などを港湾管理者が一元的に管理するのがいいのか、という議論はあると思います。また、神戸と大阪、東京と川崎、横浜のようにひとつの湾に隣り合わせにある港についてはひとつの港として連携し、将来的には一体になろうという議論も進んでいます。そういうところは国が主導的に管理運営する必要があるという意見も少なくはありませんが、地方分権の流れもあり港湾法の体系を変えるという話にはなっていません。(つづく)
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