民主党は27日、企業・団体献金を全面禁止とすることを確認した。
この方針については歓迎したいが、しかしいくつかの問題点もある。
ひとつは、この企業・団体献金の何が問題であり、これまでどういう弊害を生んだのかについて明らかでないことだ。ふたつには、即時の全面禁止ではなく、一定期間の経過措置が設けられている点である。
第1に、企業・団体献金の何が問題なのかの十分な説明と議論がないまま、全面禁止の方針が出ていることは、西松建設のダミー団体からの献金についての問題点を覆い隠すことになりはしないかということだ。小沢代表はこの事件をきっかけに、企業・団体献金の全面禁止を打ち出した。鳩山幹事長もすぐさま賛成を表明したが、民主党内では受け止め方の温度差があり、「企業献金は一概に悪とは言えない」という意見も存在する。自民党ほどではないが、民主党にも企業献金はある。労働組合などの団体からの献金も受け取っており、現在も続けられている。「政治とカネ」の問題の解決には、企業・団体献金の「全面禁止」が必要だというなら、これまでの総括と国民への説明責任は欠かせないだろう。
第2に、即時禁止ではなく一定の経過措置を設けていることである。「即時の全面禁止は現実的ではない」というのが理由らしいが、そうではなかろう。法案にまとめ、それから成立に持ち込むには時間がかかることは確かである。しかし「即時の全面禁止」は、民主党内だけでも実行すると決断しさえすれば、実現できるものである(共産党は実行ずみである)。
経過措置の「期間」については、「5年以内」を軸に検討されている。全面禁止までの経過措置として、国や地方自治体と1億円以上の公共事業や物品納入の契約をしている企業の献金やパーティー券購入を禁止する、としているが、逆に言えばそれ以外の企業献金は認めるということになる。
民主党は05年の政権公約で「公共事業受注企業からの献金の全面禁止」を掲げていたが、これからも後退しているということになる。
94年に政党助成金を導入する際も、政党への企業献金の見直しを行なうとされていたが先送りになり、その後の改革で「迂回献金」の抜け道が作られたという経過がある。こうしたことを考えれば、「経過措置」を設けることなく、直ちに全面禁止に踏み切るのが、民主党としてとるべき道ではないだろうか。
【武田】
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