九州地方整備局 港湾空港部長 梶原康之氏
地方分権の流れもあり、港湾整備における国の関与は次第に縮小。そうした中、博多港では国際水準の港湾サービスの実現に向けたアイランドシティ地区のコンテナターミナル整備や老朽化した須崎ふ頭の機能アップなど、国が直轄する港湾整備が着々と進む。国の港湾行政の中で博多港はどう位置づけられ、整備されているのか。九州地方整備局港湾空港部の梶原康之部長に語っていただいた。
広い範囲からの集荷が鍵
――全国の港の中での博多港の位置づけは?
梶原 博多港はコンテナ港湾としては、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸の5大港に次ぐポジションです。ただ、5大港と博多港との間にはかなりの開きがあります。一方、総貨物量でみると国内17位、輸出額では完成車やタイヤの取り扱いがあるので8位です。さらに、人流では釜山との間の国際旅客があるので全国一というポジションにあります。また、外貿コンテナの推移でみると、全国に比べて高い伸びを見せています。博多港は5大港に比べて、近代港としての歴史が浅いコンテナ港であるため、取扱量はまだ多くありませんが、取扱量が増えれば、サービスもよくなり、さらに貨物が増えるという好循環になっていくでしょう。
――そのために必要なことは?
梶原 長距離基幹航路が寄港するように、貨物を集めることです。博多港では現在、福岡県プラスαの狭い範囲での貨物の取り扱いになっています。現状では集荷できる貨物の個数には限界がある。すると、長距離基幹航路はそれほど頻繁には寄港してくれません。やはり、九州一円、西日本一円から貨物が集まる港にしていく必要があります。そうすれば、大きな船が寄港し、さらに貨物も集まってくるという好循環になります。
その好循環をつくるために取り組まれているのが、アイランドシティの港湾機能の強化だといえます。昨年10月には水深15mのC2バースが部分供用開始となりましたが、背後の物流拠点は国内の港湾計画で初の「臨海部物流拠点」として位置づけられ、高度な物流機能の集積などの取り組みが行なわれています。(つづく)
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