西洋的な治療
さてさて、アトピーコントロールにおいて何よりも日常的に頼りになるのがお医者様です。皮膚の状態が悪化しているときには神様以上に頼ってしまいます。では、お医者様が持っている道具には何があるのでしょうか。通常使われるのが抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤の3種類です。抗アレルギー剤はアレルギーの反応自体を弱める(といわれている)もので、抗ヒスタミン剤はかゆみなどを引き起こすヒスタミンを抑える薬です。私の所感ですが、両者はほとんど効きません。気休め程度と思っています。どこのお医者にかかっても両者は必ず登場するところを見ると、多くの人に効果があるが私に効かないだけかもしれませんが、個人的には無意味な薬と思っています。
ただし、三番目に出したステロイド剤、これは効きます。劇的に、怖いくらいに効きます。この薬はホルモン剤です。体に炎症を起こすなと命令してくれるもので、その効果は劇的です。飲み薬の場合は30分くらいから心が休まる気がしてきて、2、3日経てば赤みも引きジクジクも収まってきます。素晴らしい薬です。
けれども、ここで少し考えてみてください。これは私見なので間違っているかも知れませんが敢えて書かせていただきます。アレルギーは連載4回目に述べたとおり、生命の維持活動が過剰に働いているだけです。つまり、体は悪いことをしていると思っていない。ここが大きなポイントだと思います。IgEなる偵察兵は、ただ自分の仕事を全うしているだけ。その報告を受けた攻撃隊も正しく自分の役割を果たしているだけなのです。その結果、自分自身が辛くなってしまっているのは仕方がないことなのです。
それにもかかわらず、起きてしまった炎症のみを消そうとするステロイドをはじめとする薬たち。さて戦場ではどうなるでしょうか。IgEたちは「自分の働きが全うできなかった。もっとがんばらなくちゃ」といらない気を遣い始めます。「もっと偵察をしっかりやって、もっと大きな声で叫ばないと…」と気力がみなぎってきます。すると…もっともっと炎症がひどくなって、最終的には強いステロイドを使っても抑えられなくなるばかりか、恒常的に皮膚に炎症が起こっている状態に突入してしまうのです。私自身、数年前にはその状態でした。強いステロイドを毎日飲み、塗布し、それでも抑えられない状態に陥っていました。これじゃあいけないと思い、行動を起こしたのですが…結果は惨憺たるものでした。
(つづく)
【柳 茂嘉】
(プロフィール)
柳 茂嘉(やなぎ しげよし)
1975年生まれ。山口大学経済学部卒業。データ・マックス編集部記者を経て、現在フリーライターとして活動中。幼少期よりアトピーを患い、脱ステロイドなどの過酷な治療も経験。より完全な症状コントロールを目指し、体質改善策を模索し続けている。
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