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特別取材

「銀行との上手な付き合い方」シリーズ(6)
特別取材
2009年4月30日 08:42

CRC 企業再建・承継コンサルタント協同組合による 「企業再生の現場から!!」
経営は人なり!! 資金対策は最も経営者の人間力が問われる!!

 前回の貸借対照表に続き、今回は「その会社が1年間でいくら売り上げ、いくら利益(または損失)を出したか」を表す損益計算書の見方について、ポイントを簡単に解説します。
 実際の会社運営の現場で最も分かりやすい経営指標は、やはり「売り上げ」です。多くの会社が営業目標を設定する場合に使っています。
 一方で銀行にとっては、「売り上げはその会社の規模や過去の推移を見る」程度にすぎません。実際にその会社への対応を判断する上で重視しているのは「利益」です。特に金融検査マニュアル制定以降はその傾向が顕著です。
 まず損益計算書の仕組みを簡単に整理しておきましょう。「売上総利益」とは一般に粗利益とも呼ばれ、その会社が扱っている商品やサービス自体から生み出される利益です。
 そこから人件費や減価償却費などの固定経費(一般管理販売費)を差し引いたものが「営業利益」、さらに本業に関わらない損益、受取利息・支払利息などの金融に関わる損益など(経常外損益)を加除したものが「経常利益」です。
 経常利益から運用株式や本社ビルの売却損益などの特別損益を加除したものが「税引前当期利益」となります。
 では、銀行の見方とは具体的にどのようなものでしょうか。
 銀行は、貸借対照表の場合と違い、明白な架空売上でもない限り、損益計算書に表われた数字をそのまま使って判断しています。もちろんすべての利益水準を見ますが、中でも営業利益と経常利益、さらに費用項目の中の減価償却費に着目します。
 営業利益と経常利益については、その会社の1年間の通常営業の成績といえます。マーケットなどの外部環境やその会社の営業姿勢・人員体制などが変わらなければ、その会社の今後を予想できる重要な指標でもあります。いわゆる「黒字体質・赤字体質」とは、この部分の損益状況を指して言います。
 一方で税引前当期利益については、経常利益から、運用株式の売却損などその期に特別に発生した損益を加除したものであることから、この部分のみが赤字となっている場合には「一過性の赤字」と判断します。場合によっては、「膿を出し切った」として好感を持って受け止められることもあります。
 このほか、近年では「キャッシュフロー経営」という言葉を耳にするようになりました。銀行も会社を判断する上でこれを非常に重視しています。
 会社の資金繰りを分かりやすく示す指標の一つが「償却前利益」(営業利益、または銀行によっては経常利益に減価償却を加算したもの)です。銀行は賃貸用不動産や建機といった設備購入資金は、この償却前利益が返済の原資になると見ています。
 債務者区分を決定する際にもこの指標が用いられます。正常な運転資金を除いた長期の借り入れを償却前利益によって何年で返済できるかが判断のポイントとなるのです。例えば2期連続赤字で、長期借り入れの返済に50年も100年もかかるといった場合には、要注意先以下(場合によっては破綻懸念先以下)に落ちる可能性があるので注意が必要です。


CRC 企業再建・承継コンサルタント協同組合
協力: 建通新聞社 http://www.kentsu.co.jp/

CRC 企業再建・承継コンサルタント協同組合
企業再建支援、M&Aなどのコンサルティングは当社へ
www.crc.gr.jp/

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