二階の対小沢 “無理心中”作戦
それでも、自民党内では5月解散論が強まっている。
「小沢秘書逮捕後の選挙情勢調査ではなんとか自公で過半数確保の可能性が見えてきた」
自民党選対関係者は“早期解散論”の理由をそう説明する。
古賀誠・選対委員長は「補正予算成立前もありうる」と発言し、4月下旬に補正予算を提出した直後の解散の可能性まで示唆した。
補正の成立まで待てば解散は国会会期末(6月3日)に近づき、7月12日投票の東京都議選とのダブル選挙になる可能性が高い。公明党は「総選挙と都議選は少なくとも1カ月は間を空けるべき」と主張しており、古賀氏の発言は選対責任者として公明党との選挙協力に配慮したものだ。
その解散時期に大きな影響を与えるのが検察の動き。東京地検特捜部は西松事件で二階俊博・経済産業相の実弟の政治資金規正法違反での立件方針を固めたと見られており、自民党内も二階氏の閣僚辞任は織り込み済みだ。
「二階が潔く辞任すれば、代表に居座っている小沢に批判が向かう。場合によっては議員辞職で次の選挙でみそぎをはかればいい」(自民党役員)
二階氏辞任で小沢氏と“無理心中”させようというのが自民党側の狙いである。
さらに特捜部は4月12日の秋田知事選後、秋田の公共事業にからんで小沢ルートの捜査を再開するとの見方もある。
麻生側近は奇妙な自信を見せる。
「民主党は総選挙直前に小沢が自発的辞任し、党首を変えれば風向きが変わると思っているのだろうが、甘い。小沢はボロボロになって辞任に追い込まれる」
政界は総選挙を前に、麻生自民と小沢民主が“オウンゴール”で互いに失点を重ねる闇試合になってきた。
【千早 正成】
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