販売部数・広告減に頭を悩ませる新聞各社に、新たな「悩み」が生まれそうだ。
財団法人日本ABC協会(新聞雑誌部数公査機構)が、発行部数の調査をこの4月から厳格化する方針を打ち出しているからだ。
読売新聞1,002万部、朝日新聞803万部、毎日新聞385万部…これらの数字、いわゆる「公称部数」はすべて日本ABC協会の調査(新聞発行部数レポート)に基づくものである。広告の掲載料や折込チラシの枚数が決まるのも、この数字が基準となっていると言っていい。
しかし、新聞発行部数に関しては、かねてから信頼性の問題が指摘されていた。ABC協会の調査対象は「販売店に搬入された部数」であって、実際に配達された部数とは異なる。新聞各社は否定しているが、『押し紙』と呼ばれる、「配達されないことが前提の新聞」が販売店へ納入されているという指摘があるからだ。ABC協会側も、従来の新聞社と販売店の実地調査だけでなく、配達などの段階でも調査をすることを検討しているという。
「流通段階に調査が入ればかなり厳しい状況になることは間違いない。各社とも(公称部数が)20%は下がるのでは」(都内新聞社系列の広告企画会社営業部長)
公称部数の低下は、広告料金設定の見直しからさらなる減収につながるほか、新聞各社が否定してきた「押し紙」問題の存在が明るみになる可能性もある。ABC協会には新聞各社が役員を送り込んでいることもあり、今後どこまで調査に協力するのかがポイントとなりそうだ。
【烏丸】
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