NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

政治

「世論調査」で動く社会への違和感(下)
政治
2009年4月14日 17:04

 麻生太郎氏が首相に就任してから、何度となく世論調査が行なわれてきた。就任直後の調査はまだしも、漢字を読み間違えては調査、定額給付金でもめては調査である。しかし麻生首相本人は、支持率が1割台前半に落ちても「支持率なんて関係ねえ」とばかりにどこ吹く風だった。一体どこまで支持率が落ちるのかと思っていたら、今度は民主党側で爆弾が炸裂した。西松建設による違法献金事件である。

 同事件に絡み小沢一郎民主党代表の秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕・起訴されてからは、麻生内閣の支持率がじりじりと上昇し始める。小沢代表自身が世論の動向を見ながら進退を決める、といった趣旨の発言をしたばかりに、世論調査はますます頻繁になってしまった。西松建設事件で自民党側への検察捜査がどうなるか結論も出ていないのに、なぜこうも「小沢降ろし」を急ぐのだろう。そこに何らかの「意図」を感じるのは筆者だけではないだろう。その証拠に、世論調査の結果が「小沢辞めろ」の道具として利用されている。

 少しばかり民主党の支持率が下がると、「選挙に勝つためには、小沢代表は自ら身を引くべき」などといった発言が民主党内部からも出る始末。麻生内閣の支持率が10%台前半になっても政府・与党が踏ん張っていたのとは大違いである。民主党のなかにも衆愚政治の体現者がいるということだろう。ひとつの結論となるが、世論調査に頼りすぎると「衆愚政治」に陥る危険性をはらんでいるのだ。

 有権者の得る情報は、その大半が新聞またはテレビからのものである。ネット上に流れる様々な情報にしても、大手メディアの報じる内容に基づいているものが多い。特に政治に関するニュースは、大手メディアの独壇場である。そうしたニュースは、一定の方向性を持つケースが多いことも事実であろう。例えば西松建設事件では、大手メディアが競って東京地検のリーク情報としか思えないニュースを垂れ流してきた。すると、またたく間に、「公共事業を食い物にした小沢一郎像」が作り上げられてしまう。小沢代表の秘書への逮捕容疑は政治資金規正法違反であり、収賄でもあっせん利得でもないのにだ。それが済んだら、自治体首長の選挙で民主党推薦候補が敗れるたびに「小沢辞めろ」の大合唱である。こうした報道が続く限り、世論調査で民主党への支持率が上がるはずはない。大手メディアによる明らかな世論の誘導であろう。

 「2~3,000人の意見で国が動く状況は、どう見ても健全とは言い難い」。多くの新聞・テレビの記者たちにそうした議論を吹っかけてみたが、「世論調査」をこれ以上の怪物にしてはならないと考えている人たちは、実は少なくなかった。筆者のほかにも、現状に違和感を抱いていた報道関係者がいたことにはほっとした。そのことに多少の希望はあると思うのだが・・・。

 【頭山 隆】

*記事へのご意見はこちら

関連記事

powered by weblio


政治一覧
政治
2011年7月27日 18:05
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル