(株)アーム・レポが運営を手掛け、売却先を模索している「天神プレイス」だが、昨今の経済情勢の厳しさもあって、ファンドを含めた購入予定先は厳しい条件を突きつけている。
「テナントが100%埋まらないと駄目です。それから協議ですよ」という姿勢のところもあるという。これは、足元を見ているというより、金融機関が厳しい対応をしているというのが実情のようだ。
購入を検討する側も、当然ながら資金は金融機関からの調達となる。これまでなら「投資金額がいくらで、利回りが○○%です。これで返済計画を作成しています」ということでよかった。
ところが、「実際に埋まらないと、その利回りは絵に描いた餅でしょう。完成しているなら埋めてから協議しましょう」と、計画ではなく、実行ベースで見るようになった。
その「天神プレイス」だが、賃貸マンションとオフィステナントはほぼ目途が立っているものの、店舗出店企業が決まっていない。「契約を交わしても、設備などで2~3,000万円は掛かります。これがネックでしょう。今は金融機関も新規出店分の融資などは、なかなかやりませんよ」と不動産関係者が語るように、店舗での出店にも当然ながら金融機関が関係してくる。その金融機関が、ここでも融資を渋っているのが現状で、「設備投資資金といっても、水商売ですから厳しいですよ。外食産業が落ち込んでいるのは周知の事実ですからね。うちも今は店舗関係が埋まらなくて苦労していますから、天神プレイスさんも同様でしょう。今、決まる店舗は設備資金が少なくて済む居抜きが中心で、新店舗は厳しいでしょうね」と前出の不動産関係者。
話題の「天神プレイス」だが、入居も売却も、鍵は金融機関の融資実行が握っている状況だ。
【山口恭介】
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