15兆円を超える09年度補正予算案の概要が判明した8日、民主党も09・10年度の2年間で21兆円にのぼる経済対策案を公表した。どちらも「真水」にこだわった。
補正予算案、民主党案ともに「助成」「補助」といった表現が並ぶ。大盤振る舞いの様相にはバラマキという言葉をあてるしかない。家電製品の購入にまで公金を出していただけるとは驚きである。需要の下支えが必要であるとはいえ、「選挙対策予算」という指摘は否めない。どちらも選挙向けであるなら、有権者はどこを見比べればいいのだろうか。
双方の大きな違いは、なんと言っても「財源」をどこに求めるかである。民主党は21兆円あまりの金を次のような手法でひねり出すとしている。
・天下り廃止等による公共調達のコスト削減
・独法・特殊法人の原則禁止
・国家公務員の総人件費削減
・直轄公共事業の見直し
・個別補助金の原則禁止、一括交付金化
つまり、「国債」は発行しないということになる。
一方、政府・与党は08年度予算の一部(予備費)と埋蔵金で約4兆円、11兆円は「赤字国債」と「建設国債」を発行すると明示した。つまり大半を「借金」でまかなうというものである。財政法4条に基づく建設国債は、その目的が道路整備などのインフラ整備に限られ、次世代に財産として残る(もちろん無駄なものは造らないという前提だが)。しかし、赤字国債は財政赤字(歳入の不足)を穴埋めするためのものでしかない。純然たる借金であり、その払いは次世代に回される。今回の補正予算が成立すれば、09年度の新規国債発行額(建設・赤字両方を含む)は40兆円を突破し、過去最大となる。1,000兆円とも言われる借金をこれ以上増やして、次世代の人たちはだまってそれを払うのだろうか。少子高齢化社会という現実を考えれば、少ない人数に社会保障を支えさせ、借金まで支払わせる国家に対し、誇りが持てるとは思えない。だから「赤字国債」は許されない。自民・公明が「金を配れば支持率が上がる」と考えているのなら、それは亡国の思想である。
もし民主党の中に「赤字国債もやむなし」という考え方の政治家がいるのなら、即座に自民党に移った方がいい。中途半端な気持ちではこの国は変わらないからだ。政権交代を望む大多数の有権者は、将来への希望を持ちたくて「自民ではダメだ」といっているはず。政治や国の仕組みを変えなければいけないといっているのに、旧態然の「借金」ではますます状況を悪化させるだろう。民主党には、借金をせずにどう経済を立て直し、未来への展望を切り拓くかが問われている。
将来に展望を持ち得ない国家、夢を語れない国民に発展はない。政府・与党のバラマキ策に乗るようでは、有権者にもダメ出しせねばならないが・・・。
【頭山】
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