九州地方整備局 港湾空港部長 梶原康之氏
地方分権の流れもあり、港湾整備における国の関与は次第に縮小。そうした中、博多港では国際水準の港湾サービスの実現に向けたアイランドシティ地区のコンテナターミナル整備や老朽化した須崎ふ頭の機能アップなど、国が直轄する港湾整備が着々と進む。国の港湾行政の中で博多港はどう位置づけられ、整備されているのか。九州地方整備局港湾空港部の梶原康之部長に語っていただいた。
港の付加価値づくりを
――アジアで巨大港湾の整備が進む中、博多港はどういうポジショニングを目指すべきだと思いますか。
梶原 博多港の優位性として挙げられるのは、長距離基幹航路をもつ港として東アジアに最も近いという点です。九州の港の中で釜山航路をもっているところは他にもありますが、欧州、北米航路をもっているのは神戸以西では博多港だけ。また、博多港と釜山や上海との間には国際フェリーや国際RORO船といった新しいサービスもあります。しかも、東アジアとの航路はこの10年でかなり増えてきています。そこで、東アジアとの多様なネットワークを活かして、さらに便利な港づくりを進めて、西日本一円から貨物が集まる港を目指すべきだと思います。
――具体的には?
梶原 現時点では具体案を示すのは大変難しい。多分、誰も分かっていないでしょう。分かっていれば、日本の港は現在のように苦戦していません。
今は西日本一円で消費する貨物、あるいは西日本から輸出する貨物は海外のハブ港で積み替えています。それを博多港で積み替えるようにする必要はあると思います。とはいえ、ただ単に積み替えるだけではコスト競争力が弱い港は不利。そこでいかに付加価値をつけていくかが重要になります。そのためのエリアとしてアイランドシティがあるわけですが、具体的な付加価値の内容についてはまだはっきりしません。ただ、港の物流システムの最先端をいかなければならないということは確かで、これについてはみんなで考えていかなければならない課題だと思います。(つづく)
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