待機児童はなぜ増える?
希望する認可保育所に入れない「待機児童」が、福岡市で急増。昨年度から242人増え、980人になった(2009年4月22日付朝日新聞夕刊)-この不況下、「やはり!」という思いとともに、こんな疑問も湧き起った。「待てよ、この数字、本当に保育所を必要としている人数なのか?」
福岡市では、待機児童解消のため、今年4月、認可保育所の定員を140人増やし、2万3,755人とした。新規や増設で120人増やす一方、定員割れの施設について定員を10人減、一人当たりの保育室面積や保育士配置などの基準をクリアした既存施設をやりくりして30人増という「苦肉の策」である。
ちなみに、昨年4月現在の待機児童数は303人。希望の施設に入所できなかった436人を加えると、実質的な待機数は739人に上る。数字だけ見ると、140人ぽっちの増員では、焼け石に水・・・といった感は否めない。
100年に一度と言われる不況の中、これまで専業主婦、あるいは、パート勤めだった母親が、生活安定のために仕事を始めたり、フルタイム勤務に切り替えたりする家庭は相当数に上ると考えられる。生活保護の母子加算廃止、児童扶養手当削減等も影響しているだろう。そんな家庭への「本当に必要な支援」は惜しんではなるまい。
が、しかし、である。ここで問題にしたいのは、「育児に振り回されたくない」「自分だけの自由な時間がほしい」「子育てしたくない」などという自分勝手極まりない理由で、保育所に入所させる(希望する)親が急増しているというもうひとつの現実である。そのために、本来、支援の必要な家庭に、必要なサポートが行き届かないという弊害も指摘されている。
【山本かほり】
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