衆議院議員(福岡1区) 松本 龍
プロフィール
1951年5月17日生
初当選:1990年/当選6回 民主党
博多港は都市戦略の要
博多湾の歴史は、金印出土で知られるように約2000年前まで遡り、そして博多の港は大陸との交易・文化交流の日本最古の歴史をもっています。鴻臚館の時代、「袖の湊」の時代、博多商人が活躍し、国際貿易港として隆盛を誇った時代、戦国時代から江戸時代にかけては、“博多3傑”と言われた嶋井宗室・神屋宗湛・大賀宗九が活躍した時代を経て、近代になって国際港として発展を遂げてきました。こうした歴史を見ていくと博多港は日本の玄関口として大きな役割を果たしてきました。
現在では、国際コンテナ取扱個数が年間75万TEUを記録し、福岡市だけではなく西日本の物流拠点として発展してきています。また物流はもとより「人流」の拠点にもなっており、外国航路乗降人員が85万人を突破し、15年間日本一という数字がそれを示しています。まさに博多港はアジアに向けた都市戦略の要になっていると言っても過言ではありません。
港湾行政は新たな段階へ
1899年に対外貿易港として開港してから110年を迎える今日、博多港および国の港湾行政は新たな発展段階にきていると思います。横浜港の発展に見られるように、戦後は東京一極集中政策が採られ、国策として均衡ある国土発展ということで各地に港が造られていきました。それは一定の効果はあったと思いますが、これからは港湾の強化を戦略的にスピードアップで取組んでいく必要があります。
そのキーワードは「アジアとの共生」です。
戦後日本は「ひとり勝ち」してきました。これからはそうではない。アジアの人たちと共生していく時代です。アジアでの役割分担とネットワークをつくるなか博多港を位置づけることが大事です。「ひとり勝ち」を続けてきた日本がアジアの中でどう棲み分けていくのか、このなかで博多港は、九州・日本全体を見ても大変重要です。
拠点港としての重要性
博多港から釜山はすぐそこです。釜山から上海、上海から博多は同じ距離です。そうしたネットワークの中に博多港を組み込む必要があると思います。アジアにおける港湾競争の中で博多港は、拠点港として東アジアに向けた戦略として位置づけられ、博多港は国益にとっても大事な港であると言えます。
また2011年には九州新幹線が鹿児島まで開通しますと、鹿児島―博多―釜山―ソウルという流れができます。博多港はますます拠点的な意味合いが強くなってきています。
そのためには博多港の整備、機能強化をスピード感をもって進めていく必要があるでしょう。博多港においてハイブリッド化による効率化とCO2対策が進められていますが、エコ、環境を軸にした電化による環境対策が重要味をもってきています。
我々が思っている以上に、博多港はポテンシャルが高いものがあります。民間の知恵を出し合う中でより良いものが生まれてくると思います。「人・モノ・情報」が飛び交い、背後には自然や文化的な街があるという福岡の地の利を生かしていけば博多港はもっと賑わいのある港に発展していくと思います。
福岡の「一人勝ち」という考えではなく、福岡の発展を九州全体に広げていくために、博多港のもつ重要性がますます高まってきています。わたしは、政治の立場から全力をあげて取組んでいきたいと思っています。
(構成:編集部)
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